逆転した立場から学ぶ-審査する側に立ってみるということ-

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2018/01/25
逆転した立場から学ぶ -審査する側に立ってみるということ-

逆転した立場を体験することからの学びが大きいのは、もちろんピアノ演奏だけではありません。『自分の演奏がどう評価されるか』と向き合うには、反対に『評価する』体験をすることで、大きな気づきを得られるのではないでしょうか。

 今回の記事では各地での審査員体験セミナーのレポートをお届けするとともに、その体験からの学びをご紹介します。

 これから3月1日のコンクール課題曲の発表も控えています。「弾いて学ぶ」ももちろんですが、新たに「聴いて学ぶ」を取り入れてみませんか。 全国各地のピアノステップ、コンペティション予選は入場無料となっておりますので、是非「聴いて学ぶ」ためにお出かけください。

審査・アドバイス体験を通しての学び
これから指導者になるために必要なことに向き合えた

短い演奏時間で出演者が目まぐるしく変わる中で、いかに分かりやすい言葉で演奏の良かった点や改善点を書けるかということがとても難しかったです。1人1人にあった伝え方や表現の仕方、言葉の引き出しを沢山持っていないと、上手く伝えられず、子どもたちに楽しく、納得して貰えるレッスンにならないなと身をもって体験しました。

私が現在まで師事している先生方は、本当に沢山の言葉の引き出しだけではなく、練習方法の引き出しを持っています。私もその生徒さんに合った色んな種類の練習方法や、言葉の引き出しをたくさん作っていきたいなと強く思いました。

ディスカッションでは、同じ年代で指導者を目指している9人もの人たちの意見を聞くことが出来、一つの演奏でも9通りの意見があると「あぁ、こういう考え方もあるのか。」「同じ指摘をしていてもみんな違う表現をしているな。」と思いました。沢山の方たちと意見を交換するのは、視野が広がり知識が増え、楽しくて嬉しくて仕方ありません。もっともっと沢山の方と意見の交換をして学びたいです!

原田 沙紀さん(学生会員/ピティナWキャリア職員夏のインターン参加)
審査員が書いてくれた講評の意図が理解できた。

実際に審査員体験をすることで自分以外の生徒の演奏にもしっかり耳を傾け、より一層能動的に聴くということをみなさん体得されたようでした。

同じ演奏を聴いても着眼点もアプローチも違うということを知り、何をどう伝えるかの優先順位の付け方、また知識と経験のプールが必要という気づきにもつながったようです。受講の感想だけでなく、普段のレッスンにどう活かせるかの展望も見てたこともこの企画の大きな成果だと思いました。

(ブルグミュラーコンクール審査員体験会/実施レポートより)
普段のレッスンでは気づけないことに気づくきっかけに

このセミナーをするきっかけになったのは、あるベテランの先生がおっしゃった「以前いろいろなコンクールに生徒を参加させていただけれどまったく予想外の結果が出たりで 不信感ばかりが募り、コンクールが大っ嫌いになった。」という一言でした。気持ちはわからなくもなく、私も同じような気持ちになったことはあります。 ですがその後審査する立場になった時に、納得する部分もありました。

そんな想いからスタートしたこの「ブルグミュラーコンクール審査員体験型セミナー」。とある地区の昨年のブルグミュラーコンクール予選の動画を見ながら全員の先生方に、実際と同じ審査用紙にコメント、採点をして頂きます。その採点を『最高点と最低点の差はどのくらいあるか』『その「差」はによりどのくらい違うか』『その「差」により、審査結果がどう変わってしまうか』などなど、皆さんとともに検証していきました。

沢田菊江先生

音楽に絶対的な正解はないこと、審査結果も同じく絶対的なものではないこと、 参加させるとき「木を見て森を見ず」にならないようにすること、などなどお伝えしたいことは多々ありました。講座に参加された皆様からは、「実際のレッスンとは違う聴き方ができた。」「小さいことばかりにこだわり過ぎていたが、全体の流れや音色などが一番印象に残ることが分かった。」「意外と点差が付きにくいことも分かった。」という声をいただきました。「審査員ってこんなに大変なのか・・・」と言う声も多数・・・(笑)一緒にセミナーを受けた先生方と「審査」という体験ができてすごく楽しかった!と言う声も頂き、本当に嬉しかったです!

沢田菊江先生(ブルグミュラーコンクール対策講座 「審査員はどう聴くのか」講師/実施レポートより)
自分が演奏する際の意識が変わる
垣内敦先生

いつもは審査や評価をされる側の学生が、演奏を客観的に聴いて評価をする側の体験をしてみることで、審査員の着眼点やアドバイスの意図の理解につながりました。

また、この体験は自分が演奏する際への意識の変化にもつながる、とても有意義な体験だったと感じています。

垣内敦先生(エリザベト音楽大学准教授、桐朋学園大学非常勤講師、当協会正会員)
アドバイザー体験をした学生へのアンケートより... 〈抜粋〉
参加してみてよかった点は?
  • 小さな子の演奏を聴く機会が得られた。
  • 演奏の評価の仕方が学べた。
難しかった点は?
  • 演奏を言葉で表すという点。
  • どう伝えるか、どこまで求めるのかの加減。
将来、ピアノの指導に興味がありますか?
  • 今まではあまりなかったが、今日の体験を通じてその人の良さを伸ばすことのできる指導者もおもしろそうだと思った。
  • ピティナのステップアドバイザーができるような指導者になりたい。
関連セミナー情報
研修交流会 アンサンブルパーク
2日目「ティーチングカルテによるディスカッション」
日時
2/25(日)10:00-16:30
会場
昭和音楽大学 南校舎1F スタジオ・ブリオ

ブルグミュラーコンクール 審査体験型セミナー
「審査員はどう聴くのか」
日時
3/26(月)10:50-12:50
講師
沢田 菊江先生
会場
銀座山野楽器 本店 7FイベントスペースJamSpot

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