2017年11月29日(水)朝から抜けるような青空の拡がる横浜みなとみらい地区に多喜靖美先生をお迎えして、『拍子って何?生徒に上手に説明するには‥?』のセミナーを開催いたしました。
全国様々なセミナーが展開されておりますが、『拍子』に特化した講座はほかには類を見ないと思います。バロック時代以降の音楽では一番大事な要素であるといっても過言ではない"拍子"、大事だと分かっていても本当に説明に困ってしまう指導ポイントのうちの一つではないでしょうか。アンサンブルのご指導を沢山なさって来られた先生が長年試行錯誤され、導き出された拍子の'伝え方'その"とっておきのお話"をとても分かりやすく、惜しみなく教えてくださいました。
講座の前半では"拍子"に関する日本特有の既成概念と、欧米の捉え方の違いをご説明下さいました。ここでこれまでの拍子の認識が180度変わった方もいらしたのではないかと思います。それから耳慣れたシューマンとチャイコフスキーの小品がいったい何拍子なのか?実際に楽譜に拍子記号と小節線を書き込むワークをしたり、またコールユーブンゲンを使って異なる拍子を持つ同じメロディを皆さんで歌ったりしながら、私たちの拍子の感覚の曖昧さを再認識したり、拍子が違うとこんなにもニュアンスが変わるのか?と'拍子の支配する力'を分かり易い事例を使って実感させていただきました。
後半は機能和声と拍子との連関をシューマンの『子どもの情景』や ブルグミュラーを使って示して下さり、作曲家の終止に意図された工夫を紐解いて下さったり、拍子を感じることで同じアーティキュレーションも奏法が異なる事をご説明くださいました。先生が弾かれる『子どもの情景』の一節の音色がとても素晴らしく、全曲聴きたい!と皆さん思った事でしょう。最後に単純拍子と複合拍子の違いなど様々な拍子を"波形"に表す方法を教えていただきました。
講座の最初に先生が仰られたとおりに、目から鱗がポロポロと落ちました。以前から困っていた事、漠然と考えていた事がスッキリと解決して、横浜の青空のように晴れやかな気分になりました。当日は沢山の受講者の方が各地からご参加下さり、変わらずお元気そのものの多喜先生との再会を喜ぶ姿も多くございました。これまで沢山の曲を演奏され、ご指導されて来られた多喜先生ならではの素晴らしい講座です。是非全国の先生方にも聞いていただきたいです。 多喜靖美先生、本当にありがとうございました。