2017年11月9日 「演奏家によるペダル講座 -ペダルは魔法の装置-」赤松林太郎先生をお迎えしてのお話しをしていただきました。
まず始めに、 ペダルを踏まない曲でもペダルに足をおいて置くこと、ペダルの形と自分の足元をみておくことが大事であってその事を幼児期から意識するようにしておくと良い。 この事から如何にペダルが重要であるかということを最初に気付かされました。
踏み方として、シーソーの支点を考えて足の向きをななめに(ななめのほうがデリケートに踏める)して、足の親指に力を入れて踏むとよい。踏むタイミングは3種類。先に踏んで弾く、同時に踏む(アクセントペダル)、音と音を繋いで踏む(レガートペダル)。ペダルの深さも深く踏む、ハーフペダル、クォーターペダル、紙一枚程のペダルの踏み方など、それぞれの事例を良い例、良くない例、又私達に、疑問をなげかけながら、分かり易くご説明してくださいました。先生はどの曲でも、どこからでも、すぐ演奏されるので、豊富な事例をお持ちになっていて、素晴らしいなと感心致しました。
その後バロック、古典、ロマンの中から数曲を取り上げてもっと深く楽譜から読みとりながら、ペダルの踏み方をレクチャーしていただきました。 バロックについては、バッハの曲はペダルの是非について先生のお考えを述べていただき、それは、その当時の鍵盤楽器の事とか、2声の曲は踏むと和声にはいいが、音が3声-5声にもなり、それは作曲者の意図としていないので良くない。全然踏まないのではなく、和音の変わり目には少し踏む等、それは大変納得のいくものでした。
古典の曲は、ゆっくり踏んでゆっくり離す、ペダルによって1音の不協はいい、音に艶を出す、ビブラートが作れる、和声に膨らみをもたせる等でした。
ロマン派のショパンの曲についてはペダルを踏む事によって,テンポの揺れ、音量の揺れを求めるため、時間差で踏んだり、華やかさを求めるため、どこから踏んでどこでゆっくり浮かすように離すとか事細かく演奏を交えてお話ししてくださいました。
同じ事が書かれていても時代によって解釈が違う事、だから曲の構成を分析して、どう使うかペダルの設計図を決めていく等が、とても大切で重要であるという事に気付かされました。
今回は大型のスクリーンを御用意してくださったので、良かったと思います。
先生のお話はいつ聞かせて頂いても内容濃く、時間を忘れてしまうほどの素晴らしい講座でした。赤松先生本当に有難うございました。