2017年6月6日午前と午後に第1回と第2回、7月4日午前に第3回と、3回シリーズで、
赤松 林太郎先生のバロックインヴェンションセミナーが、武蔵野スイングホールにて
開催されました。
インヴェンションは、多くの指導者がピアノ学習の過程で使用する教材ですが、
「使ってはいるが、実のところ、どう指導したらよいかよくわからない。」
「自信を持って指導ができていない。」
といった声をよく耳にしていました。
そのためインヴェンションセミナーのニーズは非常に高く、また赤松林太郎先生の
他のセミナーにすでに参加し、理論に裏付けられた非常にわかりやすい話に惹きつけられた方も多く、3回のセミナーともに、会場は100人を越す参加者の熱気に包まれていました。
遠くからは愛媛県、長野県、静岡県、群馬県からのご参加もありました。
赤松先生は今回、インヴェンション、シンフォニア、平均律とバッハの教育的作品全体から見たインヴェンションという位置づけで考察し、レクチャーして下さいました。
1回に5曲ずつ解説して頂きましたので、1曲1曲大変丁寧にお話なさいました。
インヴェンションとは『着想する』という意味で、バッハは白いキャンバスに何かを書くように、それぞれの曲に異なる様式を用いて作曲をしています。
その様式の把握こそが、インヴェンションを学ぶ上で一番大事なことであると赤松先生。
インヴェンションは2声とあるが、対位法的な曲はすべて4声と考えるべき、ということや、テーマをどうとらえるか、装飾音の奏法、対旋律の弾き方、終盤の偽終止、終止を
演奏する上で注意すべき点、最後のフェルマータの意味など、時には宗教家としての
バッハが暗示的に込めたメッセージの話を交えながら解説なさいました。
3回目の最後には、質問タイムをもうけましたが、
「赤松先生お勧めの版とその理由は?」
「生徒に教える時には、宗教的な話もするべきか。」
など、研究熱心な指導者の方からの質問が次々飛び出しました。
前述したように、赤松先生のお話は理論に裏付けられ非常に説得力があり、すぐにレッスンに活用できそうなものばかりでした。
また今後、何に着目して聴けばいいのか、という指標もでき、聴いて楽しい、教えて楽しい、弾いて楽しいバッハインヴェンションになったように思います。
長年研究されてきた貴重なものを惜しみなくお話下さった赤松林太郎先生に改めて感謝申し上げます。ありがとうございました。