2017年6月12日熊本市のピアノハープ社で、西尾洋先生をお迎えして「和声の練習帖 -手の形で和声感を身につける-」の講座がおこなわれました。
「和声学習の第1段階 それは、徹底的に身体で覚えることです!」 というサブタイトルで、西尾先生の新刊「和声の練習帖」をテキストに、和音を音名で言うという初歩的な練習から数字付き低音を弾くことや和声法と対位法の融合まで、実に興味深いお話でした。
このテキストは序文にあるように、和声を説明してあるのではなく体験する本で、和声を「手の形」で覚え、それが「音の響き」や「動き」と連動するような練習方法を提案されています。 まずは、和音を音名ですばやく言うということから。ドミソ、レファラ、ミソシ・・・と受講者みんなで言ってみました。転回形を言ったり、高い方から逆に言ったり、けっこうタイヘンです。
それから、2小節の短い4声のカデンツを まずBassを弾く、そしてSop.を弾く、次にその2声部を合わせ、と続く『基礎練習』は、ごく短くてシンプルなカデンツからスタートすることが大切で、それらを組み合わせることで長く少しずつ複雑なものにしていくことができるということです。それをまた移調する。
西尾先生は実に楽しそうにピアノを弾きながらお話しされました。これも毎日弾いてると手が慣れ、響きと手が仲良くなるのでしょう。挫折しないようテキストに沿って丁寧に。すると、このテキストの中に〈学びのPOINT〉が時々登場します。これは西尾先生の励ましの言葉ですね。読んでいてそこに来るとホッとします。
数字付き低音の意味がわからず、かといって自ら調べようとせず、ずっと知りたいことでした。今回うれしかったことのひとつ、数字の意味がわかり通奏低音の弾き方を知ることができたことです。といってもこれも体験して自分で考えないとほんとに解ったことにはならないですね。
先生のお話を聴いて、 ピアノレッスンの中に和声学習の入り口があったのに今まで意識していなかったことに気がつきました。 レッスンの初期から音程を言いながら弾くレッスンをしているのに、速く譜読みできるためだけになってたかもしれないと反省。全調メソッドを使っているのだから、すべての1度の和音の音名を声に出して言う チャンスはあります。
初期に出てくる1度と5度7の和音の練習を工夫することで、この段階でも和声を意識したレッスンが可能です。
和音の転回では正しい指で弾けるだけでなく、和声的アプローチも必要だと思いました。レッスンを見直すチャンスになりました。なにより西尾先生の、和声を「音楽の喜び」として伝えていただいたことが新鮮でした。