【実施レポ】シンポジウム「ピアノ教本、使いこなそう」(山本美芽先生、三輪昌代先生、古内奈津子先生)

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2017/05/12
シンポジウム「ピアノ教本、使いこなそう」
文・楠瀬泰代(ピアノ講師)
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日時:4月21日
場所:カワイ横浜
司会:山本美芽先生
パネリスト:三輪昌代先生、古内奈津子先生

第3回目は、体験レッスンについてでした。
それも、自分で主導権を握りたがる子、体験レッスンに来ながらも、床に寝っ転がって弾こうとしない子、黙ったまま一言も口をきかない子、耳コピで譜読みをしようとしない子。
そういう一筋縄ではいかない生徒さんにどうやってアプローチするか、先生方にお話を伺いながら、何と、山本美芽先生のお母さん役、聴講の先生方が生徒さん役で登場し、実際のレッスンの様子を演劇の様に見せて下さいました。

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さすが優秀で経験豊富な先生方。
綿密な準備の元に、臨機応変に子どもを惹きつける術をお待ちですので、参考になったことは沢山ありました。

例えば、あらかじめメニューカードを作ってお いて、主導権を握りたい子には選ばせてあげる。逆にに引っ込み思案でだんまりの子にはあまり近づかないようにして淡々とカードを渡す。テンションを生徒さんに合わせる。落ち着かない子には手を握ってあげる(嫌がる子にはしない)

寝っ転がってピアノに近寄ろうとしない子には、まずはお母さんと楽しそうに連弾したりして放っておく。近寄って来たら迎えてあげる。そしてここは家とは違うということをわからせる為にわざと丁寧語で話す。

パニックを起こした時は声掛け自体が刺激になってしまうので、見守りつつ放っておく。 耳コピで譜面を読みたくない子には、まず生徒さんの弾いている姿を録画して、どんな演奏だったか、手ばかり見ていかに楽譜を見ていない かを気づかせる。そして、楽譜を見ない演奏、読んだ演奏を比較し、楽譜を読むことの大切さを理解させる。耳が良いことをうんと誉めながらレベルを3段階ほど下げたテキストを与え、手元を見ないで弾く練習や、書く練習をしながら楽譜を読む力をつけていく。

お二人の先生方に共通していたことは、生徒さんの行動、様子を観察し、理解し寄り添うことの大切さです。 同じおしゃべりな子、だんまりな子でもそれぞれ別の理由があります。耳コピの子も読めないのか、読みたくないのか、混合かによっても指導法が変わってきます。 また、研究され尽くしたテキストを適材適所で使い分け、加えて小道具なども使いこなしていらっしゃいます。

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そして特に心に残ったこと。 それは、三輪先生のおっしゃった、初め問題のある子でも、実は高い能力を秘めていて、その内音楽家として化けることもあります。 大変だなと思わずに楽しんでレッスンしていきましょう。 そして、自分の手には負えない、専門的な治療が必要だと判断した場合は、保護者の方にそうお伝えするべきでしょう。 子供を相手にする責任ある仕事ならではの重みのあるお言葉だと思いました。

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山本美芽

やまもと・みめ◎音楽ライター、ピアノ教本研究家。東京学芸大学大学院教育学研究科音楽教育専攻修了。中学校(音楽)、養護学校にて教諭と勤務したのち、執筆活動をはじめる。ピアノ指導者としても大学在学中から現在までレッスンを行う。「ムジカノーヴァ」「ジャズジャパン」等の音楽専門誌にて、国内外の一流アーティストに多数取材。「もっと知りたいピアノ教本」(大半を執筆、音楽之友社)「21世紀へのチェルニー」(単著、ショパン)などを執筆、ピアノ教本についての研究をライフワークとして続ける。中村菊子「レッスンのハンドブック」の中で一部を取材執筆、呉暁「練習しないで上達する」において文章作成などを担当し、多くのピアノ教本の著者・訳者に直接取材した経験を持つ。  2006年―2010年の間、夫の転勤のためアメリカ・カリフォルニア州在住。カリフォルニア州立シエラカレッジにて単位取得。アメリカのピアノ教本事情を研究。帰国後、2013年より著書「自分の音、聴いてる?」(春秋社)をテーマにしたセミナー、また音楽指導者のためのライティングセミナーを全国各地で行う。音楽教育学の知識と、音楽ライターとしてプロの音楽家・教育者との膨大なインタビュー経験、自分自身のピアノ指導・子育て経験、ピアノ学習、全国のピアノ指導者との密接な交流から得た現場発の問題点など、理論と実践を融合しながらピアノ教育が進むべき道を先導している。  2012年よりピアノを多喜靖美氏に師事。室内楽を多喜靖美、松本裕子の両氏に師事。2015年より「ピアノ教本、かしこく選ぼう」セミナーを全国で行う。あわせて指導者向けの「ライティングセミナー」、参加者が実際に弾き合いながら学ぶ「ひきあいセミナー」なども開催中。オフィシャルサイト http://www.mimeyama.com
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楠瀬泰代(ピアノ講師)

高知県出身。武蔵野音大ピアノ科卒業。
東京都内の楽器店、高知県の実家、楽器店でピアノ講師。結婚後、夫の転勤に伴いアメリカ・フランス・イギリスに計11年滞在。2011年に帰国、2015年より都内音楽教室にてピアノ指導。2017年5月に自宅にて教室開講。今までの指導した生徒は約130人。ソルフェージュも取り入れ、正しいテクニック、豊かな音楽性を育てる指導を行っている。 教室ホームページ  ブログ 


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