【実施レポ】21世紀へのチェルニー、第4回 ベストな活用方法と海外での事例(山本美芽先生)

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2017/01/10
21世紀へのチェルニー、第4回 ベストな活用方法と海外での事例
文・山内英子(指導者会員)

日程:12月15日
会場:名古屋 スタジオフィオリーレ

2016年12月15日(木)名古屋 スタジオフィオリーレにて 音楽ライター・ピアノ教本研究家の山本美芽先生をお招きし、「21世紀へのチェルニー、第4回 ベストな活用方法と海外での事例」という題で講座が開催されました。

カール・チェルニー(1791-1857)は、ご存知ベートーベンの弟子、リストの師匠です。861の曲を残しています。
かつてチェルニー練習曲は、殆どのピアノ学習者が通る道でしたが、1990年代頃より「30番練習曲」まで到達するお子さんは減少しているそうです。

今回の使用教材は、「原曲がそのままひける・ふたりのチェルニー・連弾伴奏集」(佐々木邦雄著・音楽之友社)
原曲をそのまま弾き、佐々木先生の伴奏パートがついています。

実際、参加者同士がペアを組み、「弾き合い」をしました。山本先生は、「どこが弾きにくいのか?どこが魅力なのか?」参加者にお尋ねになります。参加者が意見を述べ合うことで、より一層チェルニー練習曲を知る事ができます。

1番:響きが分厚くなり、持続低音が全体を支えます。オーケストラのように荘厳。
6番:8ビート風のベースが全体を支え、明るさと軽やかさがある楽しい編曲
20番:17小節目からmajor7があるポピュラー風

佐々木先生の編曲で「チェルニー練習曲」が「おしゃれな楽曲」に大変身です。発表会やアンサンブルとしても聴き応えがあります。

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後半では、セコンドパートを鍵盤ハーモニカで弾いたり、6手連弾で弾きました。室内楽のような感覚です。耳が他のパートを追い、耳が開いてくる感覚です。
私にとってのチェルニーは、「なかなか合格できない」曲。楽しい思い出はありません。 しかし、セミナーの前後で変化が起こりました。面白みが見つけられなかった20番が、何回も弾きたくなり、大好きな曲になってきたのです。

「・題をつける・伴奏パートを録音してプリモをで弾く」
当日合わせる静岡県の戸塚裕子先生に、ラインで動画を送ります。良い出来だと何回も送りたくなるのです。「弾き合い」を終えて清々しい気持ちでした。手の交差も楽しかったです。
「楽しさが続くと練習も楽しい」事を体感しました。
「楽しさと訓練」のバランスを保ってこそ、ピアノは上達し、楽しくなります。
チェルニー練習曲を海外では、「目的を持ち抜粋して使う」ことが多いとのこと。
チェルニー自身も「ひとつの曲を完璧になるまで生徒に延々と取り組ませる→ほかの点で上達する機会を奪われる」と云っています。 チェルニー練習曲でテクニックも身につけたいですが、「音楽的に!」「何のための練習か認識すること」が指導者に求められます。

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山本先生の4回のチェルニー連続セミナーを通してでチェルニー練習曲を体系的に知り、チェルニー以外の練習曲も提示できるように、指導者も学ぶ必要があると認識しました。
山本美芽先生、参加者の皆様、ありがとうございました。

★山本美芽先生 最新セミナースケジュール は こちら

山本美芽

やまもと・みめ◎音楽ライター、ピアノ教本研究家。東京学芸大学大学院教育学研究科音楽教育専攻修了。中学校(音楽)、養護学校にて教諭と勤務したのち、執筆活動をはじめる。 ピアノ指導者としても大学在学中から現在までレッスンを行う。「ムジカノーヴァ」「ジャズジャパン」等の音楽専門誌にて、国内外の一流アーティストに多数取材。 「もっと知りたいピアノ教本」(大半を執筆、音楽之友社)「21世紀へのチェルニー」(単著、ショパン)などを執筆、ピアノ教本についての研究をライフワークとして続け、 多くのピアノ教本の著者・訳者に直接取材した経験を持つ。中村菊子、呉暁、樹原涼子などピアノ教本の著者・訳者からは厚い信頼を得ている。2006年―2010年の間、 夫の転勤のためアメリカ・カリフォルニア州在住。州立シエラカレッジにて単位取得。アメリカのピアノ教本事情を研究。帰国後、2013年より著書「自分の音、聴いてる?」 (春秋社)をテーマにしたセミナー、また音楽指導者のためのライティングセミナーを全国各地で行う。音楽教育学の知識と、音楽ライターとしてプロの音楽家・教育者との膨大なインタビュー経験、 自分自身のピアノ指導・子育て経験、ピアノ学習、全国のピアノ指導者との密接な交流から得た現場発の問題点など、理論と実践を融合しながらピアノ教育が進むべき道を先導している。ピアノを多喜靖美氏に師事。 室内楽を多喜靖美、松本裕子の両氏に師事。2015年より「ピアノ教本、かしこく選ぼう」セミナーを全国で行う。あわせて指導者向けの「ライティングセミナー」、 参加者が実際に弾き合いながら学ぶ「ひきあいセミナー」なども開催中。オフィシャルサイト http://mimeyama.jimdo.com/
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