2016年10月11日(火)神奈川区民文化センター かなっくホール音楽ルームにて深谷直仁先生をお招きし、「ピアノ上達練習法」という題で講座が開催されました。
セミナーは、「深谷直仁のピアノ上達練習法」DVDの内容をもとに、充実した資料に沿って進められました。
はじめに、「《練習》は、それ自体が技術」「良い練習の仕方を工夫していたら、自然とテクニックが身についた」というフランツ・リストの言葉を紹介され、ピアノの上達には、「良い練習」が必要というキーワードが登場。
《広義の練習》という項目の中では、言語のイントネーションと音楽リズムの密接な結びつきを強調されたいました。ドイツ語の7割から8割は頭にアクセントを持つ言葉で、対して日本語は2割程度。日本人の演奏にリズムがない、拍感がないことを強調されていました。
まずは、生徒さんを観察し、リズムができているか見極めて指導に当たると良いというお話に、会場の先生方も納得のご様子。
また、「初見演奏」に関してのお話も興味深いものでした。まず、初見には2つの目的があること。
一つ目は、「初見そのものの上達を目的としたもの」(楽譜に目をやり、とにかく止まらずに。数多くこなすことで語彙を増やす)。
二つ目は、「良い練習をするための準備」を行うもの」こちらは、ギロックの『雪すべり』を例に、これくらいでいけるというテンポを設定し、つっかえずに、弾き直しなしの習慣を身につけるもの。深谷先生は、生徒に足りないものがわかるので「初見」を重視されているそうです。
他にも《必要練習時間、練習期間》の項目では、「練習は記憶の定着」。
人は忘れる生き物なので、ある要素の記憶が消えるまでの時間を観察し、それを指導者がわかった上で指導することの重要性を強調しておられました。
セミナー終盤では、記憶の《貯金》という非常に興味深い言葉が登場。本番に向けて大曲を仕上げるまでの期間を例に、記憶の《貯金》の計算方法を教えくださり、本番がうまくいくか、いかないかは、練習の時から決まっているとのお話で時間切れとなりました。
深谷先生、前日のステップアドバイザーでお疲れのところ、貴重なお話をありがとうございました。