【実施レポ】 シンポジウム「ピアノ教本、使いこなそう」(山本美芽先生、三輪昌代先生、古内奈津子先生)

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2016/09/09
シンポジウム「ピアノ教本、使いこなそう」
文・依田 倫子(ピアノ講師)

日程:2016年8月25日
会場:カワイ横浜 プラージュ

司会:山本美芽(音楽ライター、ピアノ教本研究家)
パネリスト:三輪昌代、古内奈津子

昭和の頃に比べ、指導者はたくさんある教本をどのように使いこなしていくのか?
はじめに山本美芽先生による、平成の教本選びのポイントとして、現在のピアノレッスンをめぐる現状のお話。現在は多忙な子供が多く、ワーキングマザーが増加している中で昔から出版されているテキストを使用しているだけでは子供もレッスンについていけない、練習もできないという子供が全国的に増えてきているそうである。


また、コンクールも数が増え、四期の弾き分けやレベルもアップしてきている中、幼児でもバロックや近現代曲も演奏しなくてはいけない課題もあり、指導者自身の勉強が必要になってきている。

そのような中、生徒のタイプ、教材のタイプを研究し、生徒の将来を考え、指導者はどのように教本を選んでいくべきであるか、山本美芽先生によるタイプ別生徒の特徴、そしてそれぞれ結果に応じた教本を選ぶためにあたり、生徒のタイプ分けをカラフルな紙でわかりやすく、解説していただいた。

次に、お二人のレスナーの先生から、実際に教室で使用されている教本やグッズをご紹介していただき、教室についてや教室の特徴、指導方針、そしてこれまでの指導の変遷についてのお話を伺うことができた。
埼玉県入間市で指導されている古内奈津子先生は、譜読みが出来て指が動く生徒を育てるため、練習する習慣を身につけさせようと、オリジナルのレッスンノートを活用されている。たくさんの教本を組み合わせ、生徒に少し負担をかける程度の課題を与え、「ちょっと頑張ればできる!」という状態を作ってあげるそうだ。

また、何事もバランスが必要であるということを先生自身も気づいたことにより、教本を組み合わせられるよう、レッスンプログラムを作成し、常に保護者が指導について疑問や不安、不満を抱かせないように、保護者へもきちんと説明されている。「どんな生徒に育てたいか」をいつも考え、教本を組み合わせるには生徒を指導者がよく知り、教本を知っていることが大切であるとのことだ。

ピアニストでもあり、レスナーでもある三輪昌代先生は、弾けるようになった曲はレパートリーになるまで弾きこませるために、年に一度レパートリーコンサートを取り入れている。生徒さん自身が作成したオリジナルプログラムは、かわいいイラストや曲についての解説もあり、生徒さん自身もレパートリーを大切にされているのが伝わってきた。

また、弾きたい曲は、弾ける部分だけ弾いてみたり、生徒さんが自然と左手がどうなっているのか興味を持ったら、左手を単音にして生徒さんの気持ちを満たしてあげることにより、弾きたい意欲をそがないのが大切。また、幼児でもアフタータッチの大切さを教え、レガートを学ばせている。受験などで練習が出来ない生徒さんには2台ピアノによるアンサンブルレッスンを行なっており、その様子を実際に参加された先生方3人と再現。セミナーの最後には、参加されたレスナーよりパネリストの先生へ質問の時間をとり、終了となった。

今回、お二人の先生方の指導方針、課題の与え方、レッスンの様子のお話を伺うことが出来、指導者が生徒一人一人のために教本を研究し続けることの大切さ、時代に沿った指導を常に研究する必要さを改めて感じた。山本美芽先生、古内奈津子先生、三輪昌代先生、貴重なお話をしてくださり、本当にありがとうございました。



◆次回「シンポジウム  ピアノ教本 使いこなそう 第二回」の日程◆
12月2日(金) カワイ横浜

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山本 美芽

やまもと みめ◎音楽ライター、ピアノ教本研究家。東京学芸大学大学院教育学研究科音楽教育専攻修了。中学校(音楽)、養護学校にて教諭と勤務したのち、執筆活動をはじめる。ピアノ指導者としても大学在学中から現在までレッスンを行う。「ムジカノーヴァ」「ジャズジャパン」等の音楽専門誌にて、国内外の一流アーティストに多数取材。「もっと知りたいピアノ教本」(大半を執筆、音楽之友社)「21世紀へのチェルニー」(単著、ショパン)などを執筆、ピアノ教本についての研究をライフワークとして続け、多くのピアノ教本の著者・訳者に直接取材した経験を持つ。中村菊子、呉暁、樹原涼子などピアノ教本の著者・訳者からは厚い信頼を得ている。2006年―2010年の間、夫の転勤のためアメリカ・カリフォルニア州在住。州立シエラカレッジにて単位取得。アメリカのピアノ教本事情を研究。帰国後、2013年より著書「自分の音、聴いてる?」(春秋社)をテーマにしたセミナー、また音楽指導者のためのライティングセミナーを全国各地で行う。音楽教育学の知識と、音楽ライターとしてプロの音楽家・教育者との膨大なインタビュー経験、 自分自身のピアノ指導・子育て経験、ピアノ学習、全国のピアノ指導者との密接な交流から得た現場発の問題点など、理論と実践を融合しながらピアノ教育が進むべき道を先導している。ピアノを多喜靖美氏に師事。室内楽を多喜靖美、松本裕子の両氏に師事。2015年より「ピアノ教本、かしこく選ぼう」セミナーを全国で行う。あわせて指導者向けの「ライティングセミナー」、参加者が実際に弾き合いながら学ぶ「ひきあいセミナー」なども開催中。オフィシャルサイト http://www.mimeyama.com
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依田倫子

東邦音楽大学 音楽学部 音楽科 ピアノ科卒業
ヤマハ音楽教室東京支部システム講師をへて音楽と動きの教室「シュピールハウス」ピアノ科講師、 くろとりピアノ教室開設指導(長野県小諸市、現在は妹が指導しています)、ミチコ♪ヨダピアノ教室開設指導
ヤマハ演奏指導グレード取得、カワイ演奏指導グレード取得、モーツァルトテウムオルフ研修参加、ビクターテク二クスポピュラーピアノコンクール信越大会一般部門優勝、 全国大会において一般部門敢闘賞受賞、 ピアニスト前島園子 公開レッスン出演。
中学校、高等学校音楽教員免許取得 、全日本ピアノ指導者協会会員、(ピティナ)、ミュージックキーシステムディプロマ、マスター認定取得 、ピアノ講師ラボ会員、 ミュージックキー表参道支部会員 1998年-2002年までアメリカ駐在 一男一女の母 でもあり、保護者の気持ちも理解できる講師である。2014年 日本音楽脳育協会 ピアノリトミック認定講師。


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