【実施レポ】アナリーゼして弾こう! インヴェンション・シンフォニアから ―演奏と指導に役立てるために―Vol.10<最終回>(秋山徹也先生)

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2016/06/14
アナリーゼして弾こう! インヴェンション・シンフォニアから ―演奏と指導に役立てるために―Vol.10<最終回>
秋山 徹也
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2016年6月3日(金)横浜市栄区民センターリリス音楽ルームにて、秋山徹也先生をお迎えして、「アナリーゼして弾こう! インヴェンション・シンフォニアから ―演奏と指導に役立てるために―Vol.10<最終回>」を開催しました。


※バッハインベンション:4番6番  シンフォニア9番15番

2014年10月からスタートいたしましたインヴェンション&シンフォニアのアナリーゼも、今回で最後回、全曲達成となりました。
秋山先生、本当にお疲れ様でした!
そして、最後までやり遂げることができたのは、ステーションメンバーの先生がたをはじめ、参加して下さった方々のご協力と応援のおかげと大変感謝しております。

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今回の講座は、いつものようにインヴェション2曲のアナリーゼの後、休憩を挟みシンフォニア2曲を終了いたしました。
そして最後に皆様の前で、秋山先生にかまくらの森ステーションより御礼の言葉を述べ、感謝を込めて鎌倉の思い出に鎌倉彫のセットをお渡しいたしました。
また1回も欠かさずご参加された緑川眞由美先生と加賀奈津子先生に10回継続皆勤賞としての記念品を差し上げた後、参加の皆様全員で記念写真を撮りました。
そしてランチ会では、苦労話や裏話なども交え、またぜひ先生の講座をやってほしいとのリクエストも多数あり、とても盛会でした。

先生の締めくくりのお言葉は、この30曲は1曲1曲が異なる内容なので非常に勉強になります、全曲それぞれの構成が理解できると、どんな曲にも応用できるのでぜひ活用してくださいとのことでした。

<アナリーゼ内容>
◆インヴェンション4番:
もっとも基本的な技法の曲で7番とよく似ています。11小節目から動きがありクライマックスを迎え終止、2部ではこれでもかと11から14小節までのフレーズが繰り返されます。 何度も同じフレーズが出てくるというのは、かなり展開的要素があるそうです。49小節目Ⅰ度で解決せずⅥ度に推移する意外性で結末を引き延ばすなどの工夫があります。

◆インヴェンション6番:
3部分構成で歯車の噛み合わせのように右左が動きます。両方共にテーマと考え同等に弾くとよいとのこと。 4小節目が3番目のテーマモチーフとして後で活躍します。2部では29小節目からホモフォニー的に左が和音で動きます。ナポリの和音でほろりとさせ、その後沈み込んでいき、再現部へと続きます。 ある意味で、この曲はソナタの原形とも言えるのではないか、9小節から属調として第2テーマになり、28小節目から展開部、そして再現部で主調のまま終止していると、興味深い事をおっしゃいました。

◆シンフォニア15番:
順番を変え、まず15番からのアナリーゼとなりました。この曲はインヴェンション6番とよく似ています。 両手とも6番のように同等です。おまけのように見えるけれど後で重要になるフレーズが、3小節目に出てきます。 2声体で動き、17小節目からやっと3声体としてはっきり出てくるので色を変えるとよいとのこと。そして25小節目に意外性があります。 6番のナポリと同様に、今度は3度が半音上がり響きががらりと変わります。 その後展開していき、テーマ再現。ところが左は閉じず5度で止まり、32小節目のクライマックスでは、半終止の代わりにこの曲集で唯一、?度の第3転回形が出てきて、7度とぶつかります。 バロック時代ではあまり使われない手法だそうです。

◆シンフォニア9番:
この曲は構成的にもっとも難易度の高い曲だそうです。遊びかないので抜く音がありません。また半音階を多用しています。4小節までに全部の音階が出てきます。 問いと答えに該当する部分は、そのブロック毎に変化をつけるとよいとのこと。 この曲は5部分で構成され、嬉遊部を交えどんどん転調していきます。主唱と応唱の複雑な絡みなど、先生の細部にわたる解説を聞くと、この曲を演奏するにはかなり深い洞察力と理解力が必要だと感じました。 まさに、最後を締めくくるのにふさわしい曲でした。


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