【実施レポ】音楽総合力UPワークショップ2016 第2回 武田真理先生

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2016/05/30
  • 第2回
  • 2016年5月18日(水)
  • 武田 真理先生
  • 自分の弾き方を見つけよう~コンペ課題曲を使って
  • 坂かず先生

若葉の緑がまぶしい5月、今年度音楽総合力upワークショップの第2回が行われました。今回はピティナ・メディア委員長の武田真理先生によるコンペ課題曲を使ってのレクチャーでした。

ピティナのコンペティションの主な特徴は「バロック、クラシック、ロマン、近現代の4時代の曲が同時に学べること」、そして「継続することでどんどん上の級に挑戦してレベルアップしていくことができること」などです。課題曲と向き合う期間は予選だけでも3月から7月までと長く、「その長期間の生徒さんのモチベーションを保つ工夫はどうされていますか?」との武田先生の問いかけでセミナーが始まりました。

会場の先生から「A~B級位の生徒さんには課題曲と並行してエチュードやスケール練習を宿題に出し、レッスンでは初見練習や連弾を取り入れ気分転換をしている」、他の先生からは「一ヶ月前までは課題曲と一緒にいつもの教本も学び、それ以降はコンペティションの曲に専念する」など意見がありました。長期間同じ曲に向き合うことに対しての悩みは会場の先生方も共通にお持ちのようで、せっかくの学びのチャンスを有意義に過ごすためにと武田先生のアイディアをA2級~C級の課題曲を使ってのレッスン形式で教えていただきました。ここではどの級にも通じるお話をご紹介いたします。

各級共通で大切なことの1つとして「時代の特徴を知ること」が挙げられます。バロック時代のポリフォニー音楽から始まり、モノフォニー、そしてソナタ形式が確立された古典派時代。ロマン派を経て近現代へとさらに自由な音楽スタイルとなります。その変遷を知り曲に取り組むことでより深く音楽を理解することとなります。

そして作曲者や作品にまつわる国や地域にも注目します。例えばロシアはその歴史の持つ悲しみ、寒く厳しい気候は南国のもつ明るさとは全く違います。近現代になると色々な地域の民族音楽とクラシック音楽が融合し、ますます音楽の世界が広がります。その音楽の育った地域の風土や文化を知っていくことは、ピアノを学ぶだけでなく、音楽を教養として学ぶことになり、コンペティション参加の意味がより一層大きくなります。

また、課題曲によく出される「メヌエット、マズルカ、ワルツ、ブーレー」などの舞踏についてのお話もありました。親しみのあるようで意外と生徒さんが知らない舞踏スタイルを伝えるには実際のものを見せるのが一番。タブレットを使用してレッスン中にも簡単に画像を見せることのできるYouTubeのサイトをご紹介いただきました。そこでは衣装を身につけたダンサーが様々な舞踏を踊っています。少しだけ一緒に見ましたが「これはレッスンで使えそう!」との声が聞こえてきました。

最後に「課題曲を含めた具体的なご質問を受けます」との武田先生のお言葉に何名かの先生方が質問をされました。武田先生はその中で「テンポの違い、曲の構成、ペダルなど明らかに間違っているものはありますが、コンペティションでは正しい答えは決して1つではありません。またそのスタイルも年月とともに変わっていくものです。音がどの方向に向かうのか、目的地をしっかり見つめた演奏をしていきましょう。そうやって色々なことを考えて課題曲に向き合うと子供のコンクールと言えども深い大きなものが存在しますね」との武田先生からのお言葉はとても印象的でした。

受講者インタビュー
野中 千春先生(指導者会員)

今年から音楽総合力upワークショップへ参加しました。今日で2回目ですが、指導者の先生がこんなにもキラキラした瞳でお勉強していることに感動しました。初めてこのワークショップをネットで調べた時に「通年(10回通し)では無理」と諦めかけましたが、読み進めると企画が興味深く、講師の先生の人選に偏りがなく、遂に参加することを決めました。前回の多喜先生、今回の武田先生は同じコンペティションの課題曲についてのお話でしたが、アプローチが違い勉強になりました。来月からもとても楽しみです。

都 理恵先生(指導会員)

武田先生から直々に演奏のアドバイスが頂けて、とても良い勉強となりました。特にハチャトゥリアンの曲については、ロシアの厳しい寒さの風土も演奏に表すなど、曲のイメージがガラッと変わりました。今後の生徒への指導に生かしていきたいと思います。ありがとうございました。


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