2016年3月20日(日)文教ハーモニー那覇店にて熊谷 洋先生をお招きし、「良い演奏と評価されるポイント?身体機能を活かした奏法」という題で講座が開催されました。
講座は、ブルグミュラーの25の練習曲をもとにそれぞれの作品におけるテクニックの奏法や指導法などを先生の演奏を交えながら進められました。協会の理事でいらっしゃる熊谷先生を前に会場は緊張気味でしたが、後列の方へのご配慮や「わかりづらい説明があったら途中でもどうぞご質問ください」などの優しいお声かけで緊張をほぐしてくださいました。
まず冒頭に《5本の指のタッチのスピードや強さをそろえるトレーニングをすること、鳴っている音をただ「聞く」のではなく"その音が良いのか悪いのか"を感じ取りながら「聴く」こと》が良い演奏につながるのだ、とお話しくださいました。
演奏する際の姿勢、手首と指先の動きや関節の使い方、音の響かせ方(和音と旋律のどちらも)などに重点を置かれていらっしゃいました。『素直な心』に出てくるような音価の長い和音の場合は手首を柔軟に使って次の和音へとつなぎ、『アラベスク』や『バラード』のようなテンポの速い作品に見られる細かく刻む和音では「つかんで抜く」といった指先と手首の作業が要求されると仰り動かし方のポイントをピアノを使って実際に見せてくださいました。
テクニック的な点だけではなく、先生の演奏は調性感や和声感がはっきりしており曲の流れがわかりやすく、そしてとてもロマンティックで魅力的な演奏で、受講された方々は横に揺れたり時には鼻歌を歌ったりして曲を感じていらっしゃいました。
講座の終盤では質問も受けてくださいました。"原典版とのテンポの違いはどのように解釈すれば良いですか"との質問には「原典版は速すぎる場合が多く、最近はそれよりも少し遅めのテンポが提案されている楽譜がある。おかしな演奏にならない範囲で多様に選択していいのではないか」とお答えくださり、"体の機能を活かした奏法について具体的にどのようなことを気をつければ良いですか"との質問には椅子の座り方に関してもご説明くださり「椅子の高さ、座る深さ、肘が体の前を通過できるピアノとの距離でなければ関節をうまく使うことはできない」とのご説明には受講された皆さんが身を乗り出して聞いていらっしゃいました。
こうして、それぞれの作品に求められる奏法や練習方法、体の機能を活かした解決策などを教えていただきました。2時間という限られた時間の中でひとつひとつ丁寧にご説明くださり、より良い演奏のために体の機能や構造を理解して指導することの重要性を教えていただいたと同時に熊谷先生の演奏によってブルグミュラーの新たな魅力にも気づかせていただく大変貴重な時間となりました。
熊谷先生、ありがとうございました。