課題曲セミナー
やわらかな春の日差しが心地よく感じられるような2016年3月17日(木)楽器センター富山にて岡原慎也先生をお招きし、「2016年度 コンペ課題曲企画 課題曲セミナー」が開催されました。
何回か弾いたことのあるセミナーのお部屋のC3から奏でられる岡原先生の音は、「今日のピアノはスタインウェイ!?ベーゼンドルファ!?」かと思わせる程で、至福のピアニッシモと言っても過言ではないくらいに繊細でまろやかで、pやppの音が大変美しく響いていました。A1級からC級まで全部で38曲を、そのうっとりするような生演奏で、ユーモアのあるトークを交えながら丁寧に解説してくださいました。
印象に残ったことをあげてみますと、 staccatoの正しい意味は、音符の長さの約半分の長さで弾くということ、そして、曲のテンポによってstaccatoの長さが変わってくるということ。 staccatoの多い曲を子供が演奏すると無表現になりがちなので、まずはlegatoで弾かせると良いということ。 バロックや古典派の曲でも、in tempoで弾くのではなく途中でrubatoしたりして弾いても良い。但しルールをおさえて弾くようにとも言われました。ルールとは、tempoを緩めた後はすっと元のtempoに戻すことで、メロディーが同じでもハーモニーが変わったらtempoを緩めたり、再現部に戻る前は少しゆっくりしたり、転調感を出すためには、そのフレーズにすぐに入らないで少し間をとってから入るということ等々でした。
そして、ほとんどの先生方が行っている手法だと思いますが、同じフレーズ(メロディー)が出てきたら色を変えるということ。岡原先生が演奏されると、ただ強弱をつけただけの音には全く聴こえず「あらっ!?、何これ!?」という風に、本当に魔法がかかったかのように一瞬にして色がかわる見事なピアノタッチでした。まだまだありますが、これらのポイントをおさえて、緩急や強弱をつけ、間をとって演奏することで、A1級のたった1ページや2ページしかない小曲が、何倍にも音楽的で素敵な曲に変身するのだなぁと大変感動いたしました。しかし、未熟なテクニックしかない1年生や2年生の子供たちに、果たしてこんな演奏が本当に出来るのだろうか?という疑問も少なからず残りました。
いよいよ、5月末からコンペ予選がスタートします。今日のセミナーで勉強した事を指導に活かし(勿論予選通過することも大切なのですが)たくさんの子供たちが少しでもコンペの曲を楽しんで演奏し、ピアノを弾いている時を幸せな時間だなぁと感じて一生懸命に練習してくれたら嬉しいですね。
今日は、岡原先生の美しいピアノの音色が私にとっては至福のひとときでした。
先生、どうもありがとうございました。