2月22日、ピティナ名古屋支部2016年上半期ピアノ指導法シリーズセミナーの第1回が、講師に石黒美有先生をお迎えして、日響楽器池下店ホールにて、開催されました。世界の音楽事情を知る企画の第1回として、「イタリアの散歩道」。
石黒先生は、イタリアに留学経験があり、数多くのコンクールに入賞され、またご主人もイタリア人ということで、正に生きたイタリアを伝えてくださり、説得力のある講座となりました。
*イタリアってどんな国?
北と南ではキャラクターが随分違い、南へ行くほど明るくなる。80%がカトリック信者。オペラの国ならではの美しい劇場が各地にある。小さな町にも1500人も入るホールがあり、クラシックやジャズのコンサートがよく開かれ席が埋まる。
そんな音楽発祥の地の音楽大好きな国ではあるが、音楽家はむしろ育ちにくい環境と言える。建物が100年も経ったような古いもので、とても響き、うるさいよ!とすぐ床やドアをドンドン叩かれるとか。なので、逆に音楽をしようという人のハングリー精神は強い。
50以上ある国立音楽院は、何歳からでも入れ、10年ほどで卒業となる。卒業の頃にはリストの超絶技巧練習曲(!)などを弾くという。ただし、ディプロマを取得するのは難しく、卒業まで行ける人は少ない。試験はペーパーではなく口頭試験。コンクールの多さはヨーロッパ随一。イタリア全体で78ある。
*生活の中に生きた楽語
楽語は生活の中で実際に使われていることば。お話の一部を紹介します。
rit.15分 15分遅れ(列車)
rall. 中にlentoが含まれているようにだんだん幅広くゆったり
Fermata イタリア語でバス停のこと。程よくのばすよりは止まるの意
Allegro 「今日はアレグロだね」・・・元気いいね 調子いいね 楽しいね
Presto 「プレスト!」・・・はやくしなさい!
Vivace vivreは英語のlive・・・生き生きと
con moto conは英語のwith .motoはモーター・・動きをもって
Moderato コンロの中火をモデラートという。速くなく遅くなく
Andante アンダーレは歩く・・・少しゆっくり
grazioso 神様から愛された美しいもの・・いい子だね、かわいいね、素敵!
dolce デザート・・・甘く、やさしく、かわいらしく
バスティン ベイシックスパフォーマンス ソナチネアルバム ブルグミュラーの中からピアノを弾いて説明して下さり、とてもわかりやすかったです。私の中で、楽語たちが、美有先生のニュアンスある話し方とピアノを通して、生き生き命を持ったものに変わってきたのは驚きでした。レッスンでも、今日のお話のように生き生きと伝えてあげたいと思いました。「楽語はインスピレーションをかきたてるものであってほしい」とおっしゃったのが、印象に残りました。
*イタリア人から学ぶ個性
イタリアの小さな店には、頑固で真面目な職人気質の人がいる。ヴァイオリン工場の一つ一つの細かい作業もそう。そのような真面目さ、細かさがクラシック音楽の礎を築いたのかもしれない。
また、イタリア人は、楽しさ、明るさを大切にし、人生を楽しむ。イタリア語からきていると思うが、人々は主張がはっきりし、歌うようにしゃべる。子供たちは、へたでも楽しそうにピアノを弾く。日本人が学ぶところは多いと思うと話されました。
石黒美有先生、楽しくてためになる講座をありがとうございました!