教本のりかえポイント徹底マスター
文・礒崎真帆(ピアノ講師)
日程:1月14日(木)
会場:カワイ横浜店
1月14日カワイ横浜店にて山本美芽先生による「ピアノ教本 かしこく選ぼう」第2回教本のりかえポイント徹底マスター が開催されました。
レッスンして行く中で必ず経験する"つまずき"。 生徒がつまずいた時に指導者はどのような策をとるのが最善なのか。 個人的な事ですが、昨年暮れにたまたま"つまずき"を感じ一度は退会も口にした小学生生徒が冬休みにじっくり考え「1からやり直したい」という答えを出したばかりでした。この折角やる気になった生徒に私はどのような教本でどの様な指導をしていったらよいのかと何かひとつでも手がかりがいただけたらという思いで参加いたしました。
教本はカリキュラムを考えて構成したものである。カリキュラムには範囲と順番が含まれる。
例えば、バイエルの範囲には対位法、近現代、ポピュラー的なものが入っていない、など。
順番に関しては今回は指使いの中の「ポジション移動」に特化してのお話でした。
ピアノひけるよジュニア2から3へ進む時に、ポジション移動の壁にぶつかる生徒が多いと言うアンケートの下に ジュニア、オルガンピアノの本、バイエル、ぴあのどりーむ、ピアノランド、バスティンの各教本の内容やポジション移動についての細かい分析の表を提示していただき、
今まで何となく感じていたもやもやした違和感が、表をみることですっきり理解できました。
後半は、グループに分かれて実際にピアノで各教本のつまずきやすい曲を弾いてみました。紙面で考察し合うより実際に演奏し聴きあう方がずっとリアルで、新たな気づき ー例えば折角、ヘ長調が出てきたのにB音が全く使われていない、一度に課題が沢山出てきすぎるー など、話し合うことで自分でも再確認できました。
また、私はバイエルから何年も離れていましたが、連弾してみると5指ポジションでも美しいハーモニーを感じ、バイエルからピックアップして取り入れるのも有効だと感じました。レッスンしていながらも何となく通過してしまっていたことを 「ちょっと待って」と足止めされじっくり見るようにとアドバイスされたようなセミナーでした。
最後に、教本のカリキュラムを階段型は ぴあのどりーむ、登山型はジュニア、オルガンピアノ、ピアノランド、らせん型は バスティン と3つの型に分類され、何を優先していくのか、生徒の理解力に合ったものを選ぶことを教えていただきました。
1つの教本を使い始めたら最後まで必ず同じものをやらなくてはいけないという概念を捨て、途中で他の教本に山本先生曰く「寄り道」してまた軌道修正していつか戻る、ことにより生徒も指導者もつまずいて苦しいままの呪縛から解放されると思いました。
翌日のレッスンで、さっそくGdurのポジション移動がどうしてもうまくいかなくなり、苦しそうな表情の生徒に、さっと「ぴあのどりーむ」の余裕をもって弾けそうなページを提示すると、ほっとした顔に戻りました。この様子を見て、セミナーで勉強させていただき、本当によかったと実感しました。
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や まもと・みめ◎音楽ライター、ピアノ教本研究家。東京学芸大学大学院教育学研究科音楽教育専攻修了。中学校(音楽)、養護学校にて教諭と勤務したのち、執筆活動をはじめ る。ピアノ指導者としても大学在学中から現在までレッスンを行う。
『ムジカノーヴァ』『ジャズジャパン』等の音楽専門誌にて、国内外の一流アーティストに多数取材。「もっと知りたいピアノ教本」(大半を執筆、音楽之友 社)「21世紀へのチェルニー」(単著、ショパン)などを執筆、ピアノ教本についての研究をライフワークとして続け、多くのピアノ教本の著者・訳者に直接 取材した経験を持つ。中村菊子、呉暁、樹原涼子などピアノ教本の著者・訳者からは厚い信頼を得ている。2006年~2010年の間、夫の転勤のためアメリカ・カリフォルニア州在住。州立シエラカレッジにて単位取得。アメリカのピアノ教本事情を研究。
帰国後、2013年より著書「自分の音、聴いてる?」(春秋社)をテーマにしたセミナー、また音楽指導者のためのライティングセミナーを全国各地で行う。音楽教育学の知識と、音楽ライターとしてプロの音楽家・教育者との膨大なインタビュー経験、自分自身のピアノ指導・子育て経験、ピアノ学習、全国のピアノ指導者との密接な交流から得た現場発の問題点など、理論と実践を融合しながらピアノ教育が進むべき道を先導している。ピアノを多喜靖美氏に師事。室内楽を多喜靖美、松本裕子の両氏に師事。
2015年には「ピアノ教本、かしこく選ぼう」セミナーを関東・関西・北陸など全国で行っている。あわせて指導者向けのブログライティング・フェイスブック活用セミナー、地元・相模原市のホールにおいて隔月セミナー「21世紀へのチェルニー」、門前仲町シンフォニーサロンにおける「自己肯定感を育てる聴き方セミナー」(自分の音、聴いてる?)なども開催中。
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国立音楽大学 教育音楽学科1類卒業。大学時代より指導をはじめ、横浜市の公立中学校にて勤務後、ブライダルプレーヤーとして ホテルにて電子オルガンで5年間演奏活動。1989年よりピアノ教室を主宰。指導歴30年以上。郷農久美子氏にピアノを師事。これまで指導した人数は80人以上。さいたま音の葉研究会所属。PTNA会員。教室ブログ