【実施レポ】音楽総合力UPワークショップ2015 第5回 吉原すみれ先生

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2015/10/07
  
  • 第5回
  • 2015年9月30日(水)
  • 吉原 すみれ先生
  • 「リズムと音色~パーカッションの世界」

夏休み後、気持ち新たに向かえた音楽総力upワークショップは打楽器奏者の吉原すみれ先生でした。ホールにずらりと並ぶ打楽器を見てレクチャー前から私達の期待も膨らみます。
吉原先生と打楽器との出会いは幼稚園の時。幼少期より工藤昭二氏のご指導を受け、ラジオやテレビに出演するなどその才能は際立っていたようです。その後中学生となり学校での演奏を聞いた音楽の先生から音楽家への道を勧められ芸大の小宅勇輔先生の弟子となり本格的に打楽器修行が始まりました。撥の持ち方を変えるのに3ヶ月かかったというスネアドラムの基礎である「2つ打ち、3つ打ち...7つ打ち」。実際に音を出しての説明では、その技術と速さに「わ~っ!」と驚きの声が上がりました。

吉原先生は東京芸術大学院在学中の72年にジュネーブ国際音楽コンクール・打楽器部門で優勝されましたが、その頃は演奏する曲がなく日本の作曲家にわざわざ新曲を委嘱して臨まれたそうです。「作品がないから委嘱する~私の委嘱人生はこのコンクールから始まりました」とのこと。その後も吉原先生が委嘱して作られた作品は数多く、77年ミュンヘンコンクール(1位なしの2位受賞)の自由曲として演奏された福士則夫先生の作品は翌年にはコンクールの課題曲にもなり、その共同作業で作り上げた「グランドⅠ」は吉原先生の打楽器人生の転機となったそうです。

打楽器の楽譜もいくつか見せていただきました。その中でも図形楽譜は一見「これが楽譜?」と思ってしまうような不思議なものでした。特に世界に3冊しか存在しないという武満徹の「見えない本」!なんと様々な色と形でできたページを自由にめくりながら、楽譜の所々に開いている穴や様々な色や模様を音に置き換え演奏するそうです。視覚を聴覚に変え、自由な発想でイマジネーションを膨らませて音色やリズムを作っていくという表現方法には衝撃を受けました。

打楽器の特殊奏法についても興味深いお話をお聞きすることができました。銅鑼やシンバルをコントラバスの弓で擦ったり、おもちゃのスーパーボールで銅鑼を擦り発音させるのは私達もやってみましたが良い音を出すのは難しかったです。その他洗面器の水にカウベルやシンバルを沈め音の変化を作ったり。また「ほしい音、必要な音」は楽器だけではありません。工場へ鉄屑や木屑をもらいに行ったり、デパートでは木製ゴミ箱の売り場で叩いてはピッチを求め、ワイングラスの売り場ではビー玉を中に入れて音を確認。そんな「ほしい音」を探し求める苦労話をユーモアたっぷりに語ってくださいました。

打楽器奏者はたくさんの楽器を保有することが必須。吉原先生のお宅には同じく打楽器奏者であるご主人の楽器と合わせると膨大な量の楽器があるそうです。それでも日々増え続けていく楽器のことを「楽器との出会いは人との出会いと同じ。"今の出会い"がとても大切。」とおっしゃる吉原先生の言葉がとてもあたたかく響きました。

受講者インタビュー
田中 眞寿美先生(指導者会員)

ピッチや音色に対しての感覚、リズムの息づかい、緩急の付け方、盛り上げ方、ブレスなど、これまで持っていた打楽器へのイメージがガラリと変わり衝撃を受けました。これをどうやって暗譜していくのか不思議です。吉原先生の今日のお話は最後の演奏に全て集約されていてとても感動的でした。

佐藤 玲子先生(正会員)

楽譜のイメージに沿った音色がほしいと楽器を作っていくことに驚きました。ゴムベルトを撥に巻きつけたり、スーパーボールをラグビー型に削ったりと工夫をして音色を追求していくことに感動しました。イメージを表現するために楽器を作るという発想が新鮮でした。打楽器はモノトーンの感じがしましたが、今日の先生の演奏やお話でイメージが変わりました。


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