2014年度、5年目となる音楽総合力UPワークショップ最後を飾ったのは、作曲家・池辺晋一郎先生。
小さい頃からシェイクスピアや詩などの文学を好み、諳んじることができるほど読み込んできたというだけあって、節々に知性が感じられる語り口に穏やかな物腰、そして時折挟まる「ダジャレ」に参加者たちはすっかりペースに飲み込まれ、終始笑い声の上がる講座となりました。
実際の演奏やCDを用いて、スラーなどのアーティキュレーションからプリペアード・ピアノや半音の半音が出せる三段式四分音ピアノ、ジョン・ケージの音楽など、常に新たなものを求める作曲家たち、時代とともに変わっていく音楽の歴史、その概要を捉えることのできる2時間でした。
以前から池辺晋一郎先生のファンで、今回お話をお伺いすることができとても嬉しく思っています。講座の中でお話されていた浜松国際ピアノコンクールの課題曲になった作品(「ゆさぶれ 青い梢を ピアノのために」)も実際にお聴きしたことがあったので、その作品を作曲家の口からお話いただけた、というのも感激でした。「作曲家にとって作曲の様子を見られることは『台所を見られるようなもの』」という喩えが面白くて印象に残っています。
小学生の頃からシェイクスピアを読んだり、天井のしみをみて想像を膨らませたり、音楽・文学・日々の生活などを分類分けせずに思考を重ね作曲されているお姿に、自分も童心にかえる思いでした。
また、この日は講座終了後に修了式が行われ、メディア委員会の今井顕先生から1年間の受講を終えた受講生たちに修了書が手渡されました。
修了式後の懇親会では、出席した一人一人がワークショップの感想をひとこと(ふたこと、みこと)。「ワークショップに来るとエネルギーが貰えた」「講座の内容はもちろん、同じ受講生と食べる終了後のランチも最高」など和気藹々とした雰囲気の中で1年間過ごされたことが感じられました。写真を撮ったり、連絡先を交換したり...講座開始時には顔も知らなかった先生方が共に語りあえる仲間となり、新しいエネルギーが生みだされていく様子が伺えました。
- 今回は2年ぶりの参加でしたが、沢山言葉の引き出しができたような気がします。これからは、引き出し易いように頭を整理していきたいと思います。(松本峰子先生)
- 今回初参加で、ついていけるか心配でした。でも、参加前は日々一人の狭い空間で楽譜と向き合って勉強していたので、今回思い切って参加してよかったです。(小髙菜穂先生)
ご多忙の中講師を務めてくださった先生方、そして1年間受講された先生方、みなさまに感謝いたします。2015年度のワークショップもお待ちしております。(締め切りは4月10日(金)まで)