【実施レポ】聴く力を伸ばすアンサンブル講座  第5回「ニュアンス」

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2015/03/03
聴く力を伸ばすアンサンブル講座 
第5回「ニュアンス」
文・井上史枝(ピアノ講師)

日程:2015年1月21日
会場:ヤマハ横浜店 ミュージックアベニュー横浜

1月21日、山本美芽先生のアンサンブル講座では、「ニュアンス」について。

ニュアンス(nuance)言葉などの微妙な意味の違い、色彩や音色などの微妙な差異のことである。辞書などで調べるとこう出ている。
まさにこの、音色などの微妙な差異に関して、私たちピアノの先生は向き合い、その差異を伝えなければならない。

その言葉の引き出しに、語彙の種類がないと伝わらないので、昨日はその引き出しにいかに語彙を増やすか、その練習でもあった。
同じ楽器で、奏者の違う曲を聴き、2曲を比較して違いを述べる。まったくはじめての曲で、要は音楽ライターの美芽先生が普段されているお仕事の内容をちょこっと真似る。その時のコツを伝授。

何かに例えてメモをする。いきなりきちんとしたかっこいい文章にしようとせずに、まずはメモ。そこから後で、記憶とともに文章にする。何について自分が感じたか分析して行く。これが手立て。
こう書くと難しそうだが、先生自身もコンサートの感想などを書くお仕事でまずメモを取られる。コンサート中のメモには、実際「シュークリーム」とか書いてあり、後でなんのことだっけ〜と思い起こして、伝える文章にされているとのこと。臨場感あふれるメモ書きなんだろうな、と推察してしまう。

と言うことで、昨日も2曲を食べ物に例えて聴き比べる、というお題が出た。実際に参加した先生方からは、シフォンケーキとお煎餅、焼きたての食パンとフランスパン、メルローとサンチョベーゼ。このように比較の差が挙げられて来た。最後のワインに関しては、あまりにもセレブすぎて私は?だけれど、最初の二つから食べ物に例えたら、の2曲の違いは伝わってくる。柔らかい感じとスッキリした感じ、という曲の違い。

このように、自分がわかりやすいもの(食べ物、色、景色、時間帯、香り、などなんでも)に瞬時に例えてメモをする。そうして行くことが、引き出しに語彙を入れる第一歩だと。
実際、これを行った時私自身は食べものが浮かばず、時間帯と言うか風景が浮かんで来た。夕方と朝、というように。わたせせいぞう氏の絵が浮かんでも来た。それでも、食べ物の比較からも強ち遠くはない印象でほっとした。

一つのことを伝えるにも、いろいろな角度や例えで生徒さんに伝える意味で、本当に日々言葉の集め方にもアンテナを張ってこれからも引き出しに言葉を増やして行こうと思ったのでした。

この日は音楽の三要素、音の三要素、休符の歌い方など、内容は濃く更にバッハのインベンション第5番を鍵盤ハーモニカを用いて、アンサンブルすることで感じることを皆で実践しながら意見を出す、ということに続く。
今回ニュアンスに特化してしまった自分の感想だが、全てにおいて自分の音を聴いて行くことにおいて、大切なことばかり。しかしレッスンにそれらを活かすには、やはり最後は抱負な言葉の引き出し、これに尽きると実感した。

今後のセミナー予定

山本美芽

やまもと・みめ◎ 音楽ライター、ピアノ教本研究家。東京学芸大学大学院教育学研究科音楽教育専攻修了。中学校(音楽)、養護学校にて教諭と勤務したのち、執筆活動をはじめる。ピアノ指導者としても大学在学中から現在までレッスンを行う。  『ムジカノーヴァ』『ジャズジャパン』等の音楽専門誌にて、国内外の一流アーティストに多数取材。「もっと知りたいピアノ教本」(大半を執筆、音楽之友社)「21世紀へのチェルニー」(単著、ショパン)などを執筆、ピアノ教本についての研究をライフワークとして続け、多くのピアノ教本の著者・訳者に直接取材した経験を持つ。中村菊子、呉暁、樹原涼子などピアノ教本の著者・訳者からは厚い信頼を得ている。  2006年~2010年の間、夫の転勤のためアメリカ・カリフォルニア州在住。州立シエラカレッジにて単位取得。アメリカのピアノ教本事情を研究。帰国後、2013年より著書「自分の音、聴いてる?」(春秋社)をテーマにしたセミナー、また音楽指導者のためのライティングセミナーを全国各地で行う。  音楽教育学の知識と、音楽ライターとしてプロの音楽家・教育者との膨大な対話経験、自分自身のピアノ指導経験や子育て経験、ピアノ学習経験、全国のピアノ指導者との密接な交流から得た現場発の問題点など、理論と実践を融合しながらピアノ教育が進むべき道を先導している。
 現在ピアノを多喜靖美氏に師事。室内楽を多喜靖美、松本裕子の両氏に師事。2015年は東京・神奈川・名古屋・大阪にて、ムジカノーヴァとタイアップしたピアノ指導者向けライティングセミナーを開催予定。
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井上史枝

昭和音楽大学音楽芸術学科、専攻科卒業。在学中よりピアノ指導に携わる。大学付属音楽教室のリトミックや、ヤマハ音楽教室の幼児科講師として7年勤務の後、現在は自宅にて教室を主宰。『音が苦』にならない『音楽』を大切にし、生徒さん、保護者さま共に「風通しのよい教室」をめざし、現在月曜から土曜、2歳から大人の方まで指導を行う。2児(1女1男)の母。子育ての悩みも、母親としての日々も皆さんと共有しつつレッスン中。
教室HP「いのうえピアノ教室」


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