【実施レポ】2014アレンジワークショップ 小原孝先生

文字サイズ: |
2015/02/13
第3回 小原孝先生

第3回目は、作詞・作曲・編曲などジャンルを問わず自由に音楽を操るマルチピアニストとして人気の、小原孝先生をお迎えしました。
「あなたがあなたの音で、想いをこめて自由にアレンジ&演奏するためには何が大切なのか、一緒に考えてみましょう」というご本人からのメッセージどおり、アレンジで一番大事なことに改めて気付かされる、心に響くセミナーでした。
曲名は小原先生が実演された曲です)


小原流 ピアノよ歌え!アレンジ&演奏法

曲を紹介する中で、それぞれのアレンジの想い、大事にしていること、演奏法などを、コンサート形式で進めてくださいました。その柔らかい口調と温かな音色は、まるで「NHK-FM 弾き語りフォーユー」の公開録音のよう!受講生にとっては、大変贅沢な時間となりました。

(1)オープニング&アレンジで大事なこと
使用テキスト 小原孝 ベスト(ヤマハミュージックメディア)

ジュ・トゥ・ヴ(あなたが大好き)

まずは1曲と、エリック・サティの「ジュ・トゥ・ヴ」でご登場!
小原流華やかアレンジに、会場はう~っとり。

「テクニックやノウハウを学んだだけでなく、それを自分というフィルターを通して、自分らしく表現するというところまでもっていく」

「アレンジは、"どんな想いを伝えたいか" が一番大事。そのためには、アレンジの目的をはっきりさせて、引き出しを多く持ちましょう。」

と、冒頭から核心に触れるお話がありました。

(2)レッスンを楽しくするためのアレンジ
使用テキスト ねこふんじゃったspecial(ヤマハミュージックメディア)

このテキストは、レッスンを楽しくするために作った教材とのこと。練習曲が嫌いな子どもたちのために、「ねこふんじゃった」(25種類掲載)で遊びながら、様々なテクニック、移調が学べるそうです。


会場有志との連弾演奏

組曲バイエル78番(4手)(ステップ基礎3課題曲)
ねこふんじゃったパラダイス(ステップ基礎5課題曲)

「どうやったらネコっぽく、表情豊かに弾けるか」を実演してくださいました。ちょっとしたコツで、確かに有志の方(Iパ―ト)のネコも「うふふ」と笑っているようになりましたね♪
動画参照

「コードは2種類しか出てこないので、他のキーでも弾いてみるとよいですよ。」とのこと。この本も、実はいろいろなキーで弾けるように編さんしてあるそうです。

 
(3)いろいろなアレンジの手法
使用テキスト 小原孝 ベスト(ヤマハミュージックメディア)
♪メロディー単旋律のみのアレンジ

「赤とんぼ」
「このメロディーからどのような音楽を感じますか?歌の曲のアレンジで一番大事なのは、歌詞です。内容もよく味わってアレンジに生かしましょう。」とのお話。当日は一本指で演奏されましたが、その美しい響きに皆さん聴き入りました。その後、会場の皆さんで歌詞を音読したり、歌ってみて、改めてこの曲の良さを再発見した思いでした。

♪原曲と違った趣向のアレンジ

「上を向いて歩こう」
リズムを変えたアレンジ。しっとりしたバラード調です。

「夜空のムコウ」
リズムを3連系に変えた、ピアノを生かしたアレンジ。
気分によって装飾音符などは自由に変えてよいです。楽譜どおりに弾こうと頑張りすぎないように。

(4)「星に願いを」弾き比べ(アレンジ比べ)

「想いを伝える」という点では変わりないのですが、アレンジの目的が異なります。

「小原孝ベスト」より レコーディングのためのアレンジ
「トライトライトライ ピアノよ歌え!ベスト・オブ・ベスト」より 月刊ピアノの読者のためにアレンジ。トリルやグリッサンドなど、楽しく習得できるテクニックの練習も散りばめてあります。

(5)歌(歌詞)を大事にしたアレンジ例
使用テキスト トライトライトライ ピアノよ歌え!ベスト・オブ・ベスト(ヤマハミュージックメディア)

「負けないで」
つぶやくように弾くために5拍子に。訃報により急きょレクイエムとしてアレンジ。なので、原曲と違い、しっとりした曲調になっています。

「ねむの木の子守歌」
美智子皇后陛下が作詞。ドボルザークの「母が教えてくれた歌」を少し合わせて、格調高いピアノ曲にアレンジしました。

「手紙」~拝啓十五の君へ」

(6)歌詞、メッセージをピアノ演奏にどう生かすか・・・
使用テキスト 小原孝 ベスト(ヤマハミュージックメディア)

「なごり雪」
「秋桜」

「まず歌詞を音読してみて(歌詞はできるだけ縦書きがよい)、情景やスト―リーをいろいろ思い浮かべて、演奏してみましょう。」
「楽譜に書いてないことも、"自分の想い" を伝えるために、勇気をもって自由に表現してみることです。まずは一ヶ所変えて弾いてみることから始めればよいのです。」というお話に、背中を押された方も多かったのでは?


会場有志との2台ピアノ演奏
 

皆さんで歌詞を確認した後、有志が楽譜のままに演奏。そこに小原先生が、2台ピアノで素敵なハーモニーを加えていきます。その、息のぴったり合った(即興なのに!)演奏に、会場は静かな感動に包まれました。

(7)ミニ・コンサート・・・最新アルバム「艶歌(えんか)」より

ラストは、皆さんお待ちかねのミニ・コンサート!
ド派手な「他人の関係」に始まり、クラシカルな「雨の慕情」「人生いろいろ」など、意外な曲との組み合わせも楽しく、表現の幅広さに驚嘆しながら演奏を十二分に堪能いたしました。

そして、これで終了・・のはずが、アンケートタイムのBGMとして「アンパンマンのマーチ」を、歌詞を読み聞かせしながら演奏してくださいました。その深い意味に皆さん頷きながら、アンケートを書くのも忘れて(笑)またまた聴き入ってしまいまいました。 小原先生のやさしさと愛情に満ちたセミナー、大満足なのはもちろんのこと、次の機会を楽しみにする声も多く聞かれました。

今回は終了後にランチ会も開催されましたが、小原先生も気さくに写真撮影や質問に応じてくださり、皆さん興奮さめやらぬ表情。
ポピュラーについての活発な意見交換も行われました。

大好評につき、この「アレンジ・ワークショップ」は、今秋~冬にかけて続行が決まりました!!更にパワーアップすることは間違いありません。楽しみにお待ちくださいね!

(Rep:佐土原知子


参加者の声
◆斎藤ひふみ先生(福島県/正会員)

今日はとてもすばらしい講座をありがとうございました。赤とんぼの1本指の演奏、とても心に響きました。歌詞のある曲のアレンジは「言葉」を大切にしたいと思います。アレンジの中に、楽しんでテクニックが学べる部分がたくさんあり、生徒さんへの愛情を感じました。音色がとてもキラキラしていて、本当にステキな演奏でした。先生のアレンジは曲の向こうに物語が見え、涙が出そうでした。

◆小田裕子先生(埼玉県/指導会員)

今日いちばん心に残ったことは、ピアノだけでも充分に歌の情感を伝えることが出来るということ。オリジナルにはかなわないと思っていましたが、ピアノという楽器の魅力、演奏者の音楽性で心に響く音楽はもっと表現できる、と信じられるようになったと思います。ありがとうございました。


◆岡田薫子先生(神奈川県/指導会員)

アレンジの講座を通して感じましたが、先生たちはとても柔軟に、自由に音楽をとらえていると思いました。1つの考えにこだわらず、どうやったら音楽をもっと楽しく感じることができるか、いろいろ試したら良いと思いました。また、アレンジはまず、自分でやってみることが大切と思いました。アレンジに際しては、音域・和声・リズム・~風に、など取り入れる。そして、どんな風にアレンジしたいか目的をはっきりもってやる、などがポイントだと思います。自分でつたなくても弾いて実践していけたらと思いました。そのあと、プロのアレンジ楽譜を見ると、より素敵さ、技が実感できると思います。すてきな演奏ありがとうございました。


【GoogleAdsense】
ホーム > ピアノセミナー > ニュース > > 【実施レポ】2014...