日原 美智子先生
「パフォーマンスをする時、何が一番大切だと思われますか?」
講師にトマティス聴覚カウンセラーの日原美智子先生を招いての今年最初の音楽総合力UPワークショップは、こんな問いかけから始まりました。おだやかな声・話し方と佇まい、まっすぐに受講者を見つめて話をする先生の姿に、受講者は開始早々に引き込まれていました。
「演奏は究極のボディコントロール」という日原先生。耳・額・右耳奥など音を聴く部位を変えることでどのように音が変化するか、実際に3名の受講者を例にデモンストレーションを実施しました。「骨」が「豊」な「體(からだ)」だからこそ、身体を構成する骨一つ一つを意識して音を聴くことが重要、とのお話に、受講者は感心した様子で大きくうなずいていました。
終了後には日原先生の前に列がずらり。音叉を使って実際に音が骨に響く感覚を一人一人が体感し、興奮冷めやらぬ様子で講座の感想を共有していました。
根幹になる「トマティスメソッド」と、物事を論理的に捉える左脳へと繋がる右耳から聴く方が習得が早くなる、という話が印象的でした。これから早速、自分も生徒も右耳で聴く意識を持てるようにしていきたいと思います。
演奏姿勢についても、実際に体験したり、デモンストレーションで音の違いを聴いたことで分かり易くなりました。実は以前に姿勢についての講座を受講したことがあって、日頃からレッスンで生徒さんに注意するようにしていたのですが、背骨や肩甲骨、腕・手首へと続く骨に音を響かせるように考えて姿勢ができる、など、具体的に「なぜそれが良いのか」とご説明をいただいたことで、改めて演奏姿勢の重要性も認識することができました。
耳の構造、機能などの解剖学的なところから説明していただき、今まで自分がなんとなくの感覚でやってみていたことが理論的にはっきりとした感じがしました。「これでよかったんだ」と再確認することができたように思います。また、演奏している時には鍵盤と反対側に立っているつもりで音を聴くことや、倍音をイメージして聴く、など新しい視点も得られました。
3名のデモンストレーションがあったことで、「意識するとこんなに演奏が変わるんだ」と実感でき、これから生徒にも自信と根拠を持って「こうしたほうがいい」と伝えられる思います。