梅津 時比古先生
第7回は、桐朋学園大学学長で毎日新聞学芸部特別編集委員としてエッセイなども執筆されている梅津時比古先生に、「教育」についてお話いただきました。
講座の冒頭飛び出したのは、「サンタクロース」についての一考。一見教育とは関係ないことのように思われますが、「サンタクロース」=「全ての人にプレゼントを贈る存在」すなわち、「公平性の下に存在するもの」という観点から、教育の意義を示しているといいます。
ご自身の体験を交えながら、「教育」の本質とは何か、また、どこで「教育」と「管理」は分けられるのか。大学をはじめとする学校、そして地域の音楽教室まで、教育に携わる者としてどのように生徒と接していくべきか、今後個々に追究していくべき問題として受講者へ問いかけました。
杉山先生:エッセイやコラムなどを拝見していて、今回梅津先生のお話を直接お聞きできることをとても楽しみにしていました。2人とも静岡からの参加ですが、梅津先生が講師を務められることが今回の受講のきっかけといっても過言ではありません(笑)
実際受講してみて、文章で読んでいるとおりの穏やかで思慮深い先生のお人柄を感じられましたし、内容も素晴らしかったです。「こうするのがいい」という「答え」の提示ではなく、今後も自身で考え続ける「問い」をいくつもいただきました。
小泉先生:講座を聞きながら、自分が昔受けていたレッスン・心に残っている先生のことや、今の自分を振り返りました。講座の最後に質問もあがっていましたが、「教育」と「管理」の線引きについては悩むところですよね。生徒1人1人と対話をすることが大切とわかっていても、時間がそれを許さないこともあります。逆に、生徒の準備の状態に関わらずレッスン時間は長い方が良い、と時間が先立ってしまうことも少なくありません。いずれにしても、生徒といかに向き合うか、が重要ですよね。
杉山先生:1人1人に向き合おうと思った時に、1人ずつ「どうしてほしいのか」が異なっているということが、難しさのひとつですよね。お手紙を書いたり、生徒さんとコミュニケーションをとろうとアプローチをしても、必ずしもうまくいくとは限らなくて。
小泉先生:最近うちの教室では、私が今興味あること・気になったことをまとめた「教室通信」を配ったりしています。頻繁にではありませんが(笑)
こちらが生徒を理解するだけではなくて、生徒にも私のことを理解してもらえたら、より深く関係性を築くことができるのかなと、試行錯誤しています。
杉山先生:講座で梅津先生が実体験としてお話された、今でも心に残る小学校の先生のように、生徒の心に寄り添って深く残ることができる先生になりたいですね。