さる10月5日(日)にカワイ表参道にて春畑セロリ先生の「ぶらぶ~らの地図」公開セミナーが開かれました。「ぶらぶ~らの地図」は昨年11月に全音楽譜出版社から出版された曲集です。もともとは関孝弘さんのピアノリサイタルのために書かれた5曲をもとに21の新曲を書き下した曲集で、それぞれユニークで不思議なタイトルが。曲の趣きも様々、難易度も様々で、発表会からリサイタルまで色々な場面で使えそうです。
さて、このセミナーは楽曲解説、奏法解説というよりもイメージトレーニング的なものが中心でした。セロリ先生が弾く曲から連想される色彩やタイトル、ストーリーなどを参加者全員でディスカッションして一人ずつ発表していきます。その想像、空想、幻想、妄想の世界に皆で共感したり驚いたり笑ったり...同じ曲でも十人十色の様々な感性にあらためて驚くとともに、これを繰り返していくうちに自分のアタマがどんどんやわらかくなってくるのを実感。音楽の懐の深さを感じた瞬間でした。
このセミナーは全国各地ですでに30カ所も開かれているとのことでしたが、今回はスペシャルな企画がもりだくさん。まず会場に入って気付くのはステージ上に飾られている1枚の絵画。これはこの曲集の表紙のイラストの原画で、今回イラストレーターの乾真徳さんのご厚意で特別にご用意されたものだそうです。オリジナルの持つ鮮やかな色彩と、大胆かつ緻密なアートワークを直に感じることができ、また今回特別に乾さんのデザインによるカレンダーやランチバッグといったグッズの即売も行われました。また、会場奥にはセロリ先生の自筆譜の展示が3点。清書する前の様々なモチーフのスケッチ的なもので、どのような過程で曲が出来上がっていくかを垣間見ることができ、とても興味深いものがありました。
そして締めくくりには新進ピアニスト森本茉耶さんによる演奏「ニンナナンナ・ディ・ブレーシャ」「システィーナ幻想」の2曲も披露されました。この2曲は曲集の最後を飾る大曲で、非常に難易度が高く、それゆえに実演に接する機会がないのですが、森本さんの演奏は見事なまでに華麗に弾きこなしており、幻想的なセロリワールドを描き出していました。
気付けばあっという間の2時間。セロリ先生の温かなお人柄に触れて終始笑顔の絶えない素敵なセミナーとなりました。明日からのピアノレッスンに活かせるヒントをたくさんいただくことができた気がします。
(レポート:カワイ表参道)