亀田 正俊先生
全10回の音楽総合力UPワークショップも折り返しとなりました。第6回は、音楽之友社にて楽譜編集をされている亀田正俊先生をお迎えして、「楽譜編集」について講義をいただきました。「楽譜編集者」は、楽譜の間違いを探す「探偵」(=楽譜の校正作業)、<実用版><批判校訂版><原典版>など時代の流れに沿って変化する「楽譜の在り方」に対応し、「楽譜出版」に関わるあらゆる事柄を円滑に進める「触媒」など様々な役割を担っている、といいます。講座では、50年代~90年代の楽譜出版の流れや、版の比較、楽譜校正の実習など、普段見ることのない楽譜編集の現場を垣間見ることができました。
「楽譜編集者」ということで、少し離れた立場のように感じていましたが、亀田先生はお話もお上手で、また、途中でご自身が演奏をされたり、とても音楽がお好きなことが伝わってきて、親近感を持って面白く講義を聞くことができました。
ブルグミュラー「素直な心」の楽譜にアーティキュレーションを書き込みタイトルをつける実習など、久々に参加型のワークショップで嬉しく思いました。お隣に座っていたのは既によく知っている先生だったのですが、書き込んだ楽譜を見せ合ってディスカッションをしていると、自分では思いもつかなかったような意見が出てきたり、「こんなことも考えている方なんだ!」と新たな面を知ることもできて、とても面白かったですね。音楽総合力アップワークショップで出会った先生とは別の講座でもお会いすることがあったり、ワークショップを通して人間関係も広がったように思います。
講座の中では、「今ある譜面が正解ではない」というお話が印象に残りました。ショパンの楽譜を初版から見比べてみると版ごとに様々違いがあり、改めて「楽譜ってなんて奥深いものなんだろう」と思いました。アーティキュレーションの意味など、普段から深く考えていかなければなりませんね。沢山の譜面を見比べてみてた結果として、亀田先生が、「結局は作曲した本人にしかわからないものですね」と仰っており、その違いを楽しんでいる様子も印象的でした。版を見比べるというのは、なかなか自分では行いませんし、ワークショップに参加したからこそできたこと・得られた視点だと思います。
亀田先生がお話される様子、演奏をされる様子を見て、「生徒たちもこんな風にどんな形であれ音楽に関わっていって欲しい」と思いました。アンサンブルの楽しみ、楽譜の楽しみなど、先にある楽しみをこれから生徒に教えていってあげたいと思います。