6月1日、 南麻布セントレホールにおいて『樋口紀美子先生による公開レッスン』が行われま した。
午後1時から夜の9時までの長時間、コンペティションのC、D級、E級、 F級、特級、グランミューズの10名の受講生のレッスンが繰り広げられ、聴講生として30名 の方にお越しいただきました。
受講生の中には、前日、同じホールで行われた南麻布春季ステップに出演された方も多く、2日 間にわたり樋口先生のアドバイスが受けられ、より深く先生の意図を理解し演奏につなげることができたと思います。
樋口先生は 33年間ドイツにおいてピアニストとして活動され、一方、指導者としても数々のコンクールに上位入賞者、オーケストラとの再度にわたる共演者を出すなど素晴らしい門下生を輩出してきました。そして日本に帰国されて常に感じておられることは、日本で学ぶ人たちにとって、いかにヨーロッパ音楽を感じて演奏するか、ということです。
今回バッハやベートーヴェンの曲が多く演奏されたのですが、先生は常に『アウフタクト』つまり、小節線のある音楽を意識して、拍感や間のとり方を大切にするようにと、おっしゃっていました。
また、ドビュッシーの音楽は上の音だけのメロディーではなく、和音を伴う美しいメロディーを大事に演奏するように、リストは特に楽譜に忠実に演奏するのが望ましいと強調されていました。
自由な発想というのは、まず楽譜に書かれていることを忠実に演奏し、追求することで自然と自由な発想が生まれてくるもの。ピアノを演奏する人は大作曲家の意図やメッセージを代弁する使命を持っていることを心して取り組んでほしいと、お話しくださいま した。
聴講生からのアンケートでは、樋口先生の熱のこもった集中力の切れないレッスンが素晴らしい。先生自ら演奏して伝えるご指導は分かりやすく、直後の生徒の音質ががらりと変わるのはお見事です!など、指導法を学ぶ上でとても勉強になったという声を多くいただきました。
今回、樋口紀美子先生の公開レッスンは初の試みでしたが、今後も若きピアニストの向上と指導者育成を目指して、公開レッスンを続けていきたいと思います。
(Rep:ピティナ南麻布インターナショナルステーション 野中秋子)