【実施レポ】日本バッハコンクール課題曲セミナー

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2013/10/03
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日本バッハコンクール課題曲セミナー 
《バッハコンクール活用法 》
日時 2013年9月28日(土)10:00-12:00
会場 汐留ベヒシュタイン・サロン
レクチャー 石井なをみ先生

《 講座内容 》
・バッハコンクールの意義(なぜバロックなのか)
・バッハコンクールの課題曲から何を学ぶか
・課題曲を実際にとりあげながらその演奏と指導ポイントの紹介

バッハコンクール開催までの道のりをご紹介頂いたあと、バロック音楽の具体的な指導法に
ついて以下6項目のお話がありました。

1.片手ずつの独立・・・指使いを正しく、腕を使うのではなく、指にアーティキュレーションを
 持たせる。ゆっくり・きっちり・ていねいに拍で弾く

2.構成の整理・・・カデンツはどこか?テーマはいくつ出て来て目的地はどこか?ゼクエンツは?
 転調は?などを元に1曲の段落分けをし、それぞれに対して考えを持って弾く。
 例えば、転調していることによってどう変わるのか?どのように変わったのか?
 それを伝えるためにはどのように弾けばよいのかなど。

3.両手のかみ合わせ(和声感)・・・楽譜の縦の並びを和音に直して弾くことによって和声感を
 持たせる。または、和声が作るフレーズを聴く。オクターブもハモる感覚を持って聴く。
 この縦の並びを整理して聴く事によって音楽が立体的になる。

4.拍節感を持たせる・・・バロック特有の舞曲のキャラクターを知る。(リズム・テンポなど)
 また、4分の3拍子と8分の3拍子の違いなどもはっきりと認識させる(前者は1小節に3拍、
 後者は1小節1拍など)拍のとり方は言語と密接な関係がある。
 日本の言語は基本的に5・7・5のイントネーションで成り立っているので、気をつけないと
 細切れになる。

5.アーティキュレーションについて・・・基本的に曲全体が統一されていれば、演奏者の感覚で
 弾いてよい(ただし、理論上のルールは守ること)また、バロック特有の表現も考えること。
 ゼクエンツはだんだん大きく・小さくではなく、段階的な変化が好ましい。

6.ダイナミクの考え方・・・基本的に演奏者(生徒)の好きなようにさせる(ルールを守った上で)
 各時代によって表現の幅や仕方が違うことをわからせる。構成によってもダイナミクは変わっ
 てくるので、どう弾きたいのか考えさせる機会を持たせる。例えば3部形式ではABAのうち、
 真ん中のBは濃く・厚く弾くなど。


♪ 受講者からの質問・・・基本的にダイナミクもアーティキュレーションも生徒の考えに任せる
ということだが、楽譜指定になっている以上、その楽譜に書いてあることを守らせなくてもよいのか?

♪ 答え・・・たとえばメヌエットであれば、数多くのメヌエットが存在するので、課題曲を間違えない
ようにするために○○出版、○○の○ページと楽譜を具体的に挙げた。よって、演奏者の考えに
沿って臨機応変に変えても構わない。


♪ 今後の課題・・・石井先生が繰り返しおっしゃっていた「生徒自身にどう弾きたいのかを常に
考えさせる癖を小さいころからつけるようにすることが大切」という言葉がとても印象に残りました。
「よく弾く」演奏が素晴らしいのではなく、「よく考えて弾いている」ことが大切なのだと思いました。
指導者は生徒に弾き方を一方的に押し付けるのではなく、生徒の感じていることを引き出し、
それをどうすれば演奏によって表現することができるのかを時間を掛けて丁寧に教えていく
必要があると感じました。
バロック時代の音楽は、特にダイナミクもアーティキュレーションも指示がありません。
あえて、そのような楽譜で勉強することでどう弾くか考える機会を持つことができます。
このコンクールは競い合う場所ではなく、勉強会の拡大バージョンであるという石井先生の
お言葉と共にピアノ学習の基礎となる力をつけることができるこのコンクールは指導者も
育ててくれるものだと確信致しました。

(Rep:ピティナ文京音の泉ステーション 軽部忍)







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