平成25年2月25日、(株)JEUGIA大宮アプローズ2階サロンにて、長谷川淳先生による
講座を実施しました。
テーマは「ピアノ構造から見たただしタッチ」-演奏を生かすも殺すもタッチ次第-。
内容は、実際にレッスンで取り上げられるような曲の演奏を聴きながらのとてもわかり
やすいものでした。
お話の流れは、「ピアノの歴史と現代のピアノ」「ピアノの構造から見た正しいタッチ」の
二つに分かれており、ピアノの歴史から作曲者の作品をより深く理解することで、ピアノの
発展と共に表現力の拡大が可能になり、曲そのものも一段と作曲者の思いが反映され
やすくなったことが分かる、また、鍵盤の奥に隠されている仕組みを理解すると、どのような
タッチが一番無理なく楽器から良い音を引き出してくれるのか?という答えが見つかる
というものでした。
私たちが、日々練習に励み、レッスンに通っていたころは、指を立てることを基本に
早く動く訓練のようなレッスンが主流でありましたが、現代では様々なタッチにより
音への影響が変わり変化のある音色を作り出すことができるということへの理解も深まり、
レッスンにも反映されていることが分かりました。
同じフレーズでも、タッチにより、違いを表現できること、曲により多くの抑揚をつけられる
ことが模範演奏を聴いてよくわかりました。そして、そのタッチが筋肉の負担を軽減できる
ので、手を傷めにくくなり、腕がしなやかに動くことで柔らかく良く響く音が出しやすい、
また、響くことでメロディーを感じやすくなることもわかりました。
ピアノの構造上、完全に鍵盤を上げなくても連打できるので、早いパッセージを弾く時の
指使いも考え直すと、音楽的に聞こえる演奏ができる事、跳ね上げることで押さえこむよりも
一段と効果的・印象的な音がつくれること等、タッチひとつで違う曲に感じるほど、深みの
ある演奏になることも、模範演奏で感じることができました。
ただ、これらの指使いだけでは、良い音・響きを作るのは難しく、やはり脱力やフォームも
大切だというお話もありました。野球のバッティングやドアを閉める時の力のかかり具合
にも例えられ、とても分かりやすいものでした。
質問では、これらのタッチはポリフォニーに使えるかと質問もありましたが。
どんな曲に関しても、メロディーを感じやすくしたい場合は、そのフレーズにあった
タッチを用いることで、強調したい部分を効果的に響かせることができる、簡単な曲でも、
取り入れることが出来るとのことでした。
今後は、コンクールに挑戦する生徒たちにも、簡単な曲を弾いている生徒たちにも、
できることからタッチによる音色づくりを体験させることが出来たらと思いました。
(Rep:ピティナ醍醐サウンドワークステーション)