2012年10月16日(火) 滋賀県栗東市にある栗東芸術文化会館さきら小ホールで開かれた、ピティナピアノセミナー第3回日本バッハコンクール課題曲説明会、石井なをみ先生を講師に32人の受講生が集い開催されました。<主催 ピティナ彦根ステーション、日本バッハコンクールinSHIGA実行委員会>
「なーんにも考えずに、インヴェンションを(ピアノ教室の)子どもが弾くと、こんな風に何を弾いているんだか判らないピアノ(演奏)になります。」と石井先生は、まるで目の前にピアノ教室に来ている生徒がいるようにピアノを演奏されました。(※なーんにも考えていないピアノを想像しながら読んでね。)
会場に集まったピアノの先生達はそれを聴いていて、「うんうん、うちにも、いるいる、こんな生徒さん!」と頷いています。
「日本に10年も暮らしていて日本語がペラペラの西洋人でも言葉の中には独特のビートがあり、日本人ならベターッと『わたくしはいしいです。』というところが『わったくっしわぁ?いっしいでぇ?すっ』となります。日本語がしゃべれる西洋人でも日本語の平たい音節は習得するのが難しいようです。このように西洋の人には抜き難い独特の言語構造があり、これが小節感に関係しています。はっきりしない音節の構造をもっている日本人は、これが苦手です。」
なーんにも考えずに、(ピアノ教室の)子どもが弾くインヴェンションは、このような原因で何を弾いているんだか判らない演奏になってしまうのですね。「メヌエットをこんな風に元気よく、どっか?んと弾くと上品なメヌエットが下品になります。」
石井なをみ先生の、実体験に基づく観察力で、そのあと次々に「ピアノ教室あるある、ポリフォニー編」が課題曲の1曲、1曲と共に出てきました。受講生をひきつけてとりこにしてしまう石井先生のピアノセミナーの魅力は、精緻な観察眼とその観察に基づく冷静な分析や思考を私たちにわかり易く伝えてくださることにあるんだということを再認識しました。そして、その先にある解決策が指導法となって役にたつのですね。
「何を弾いているかわからないピアノを弾かないためには、まず理性的に楽譜を分析することです。音楽を演奏するのに重要なことは最終的には感性であると私は思うのですが、
私たち日本人が感性だけに頼ってピアノを弾けばそれは、演歌になってしまうのでしょう。
そのためには、理性や知識をもって十分に楽譜を分析して読み取ることが必要です。」
楽しくお話を聞いているうちに2時間はあっという間にすぎました。
最後に、先生から
「今回の日本バッハコンクールに生徒が出る予定のない先生も、ぜひこのコンクールの会場に足を運んでいただきたい!バッハコンクールに限らずコンクールの会場に出向いて演奏を聴くことは指導者にとってとても良い勉強の機会になります。
よく、ピアノコンクールに出続けたお子さんのお母様が評論家か予言者かというような判断力を身につけるということが見聞きされます。初めのうちは誰でも、何でこの子が合格でこの子が不合格かわからないと思います。
実は私もその一人でした。そのうち、この子は合格する、この子はおそらく不合格だということが演奏を聴いただけで、かなりの確立で見通すことができるようになります。
そうすれば、どうしたらそのコンクールに合格できるかを考えることもできるようになります。
その見通しが立てられないうちは、ちゃんとした指導をすることは出来ないと思います。
そして、この子は全国大会に出場するなということも判断できるようになります。そのときに、
はじめて全国大会に出場できる生徒さんを指導することができるようになるのです。
どうか、一度このバッハコンクールに足を運んで参加者の演奏を聴いて頂きたいと思います。」
石井先生、とても、有意義なお話をしていただきどうもありがとうございました。
ということで、全国各地で開催される第3回日本バッハコンクール、滋賀地区では1月14日に、
この栗東市の栗東芸術文化会館さきら小ホールで行われる第3回日本バッハコンクールinSHIGA
をよろしくお願いします。
(Rep:ピティナ彦根ステーション )