2012年3月12日、まだ地面に白いものが残る仙台にて、林 苑子
先生の『2012年度コンペ課題曲セミナー』が開催されました。
前日、3月11日に復興を祈願して開催されたステップで、被災された方々も含めて110人を超える演奏の審査もされ、音楽を通して励ましの言葉を下さいました。
セミナーの中止やコンペの開催が危ぶまれた一年前を思うと、予定通りにセミ ナーが開催されたことだけでも、感謝の気持ちをおぼえます。表面は元に戻っても以前とは確実に違う日々。目に見える傷跡、見えない傷跡は沢山ありますが、 ピアノ教師として新しい課題曲を勉強することで、出来ることをやって行こうという気持ちを新たにしました。
さて、セミナーではA2級?B級は全期、CD級は近現代をほぼ全曲、生き生き
とした迫力ある演奏で紹介してくださり、「駆け足で」とおっしゃりながらも作曲家の事、
時代性、楽譜の正確な読み方等、要点を具体的に解説されました。
特に基礎となるA2級では、全級に渡って大切な事が多くありました。
・曲の中でなにが同じでなにが違うかを知ること。
・フレーズの頭は常に分けて、意識して上からはいること(特に小さい子の場合)。
・曲の最後の休符はきちんと静止して終わること。
・スタッカートとアクセントは違う。上から落ちるのはアクセントであること。
・前腕が上がって降りることで音がきちんと鳴る。指だけではないこと。
(肩甲骨を意識)
・バロックの音楽は、大きく祈りとダンスであり、祈りは感情ではないので
歌いすぎないこと。
・初めて弾くピアノであっても、ピアノの音を聴きながら美しいバランスを
探していくこと。審査員はそれをできる子がちゃんと分かる。
・スパニッシュ風の曲や踊りの曲は、先生がそれらしい伴奏をつけてあげると
雰囲気がつかみやすいこと。等々
また、曲ごとに練習方法や推奨の指づかいも示されました。
「それぞれの先生方が場合に応じてお考えになると良い」とおっしゃった上で
ご 自身のお考えをきちんと提示してくださり、温かい中にも毅然としたお人柄に
魅 了された2時間でした。
最後になりましたが、復興支援として3月11日のステップ参加の被災者に参加
費全額を還付し、一年振りに再開した立派なホールで音楽を奏でる喜びを感じる
機会を与えてくださった仙台中央支部に感謝いたします。
(Rep:PTNA会員 大野芳枝)