【実施レポ】第1回やる気を引き出す"魔法のレッスン(渡部由記子先生)

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2011/09/16

blog110908hibiya_watanabe.jpg 9月8日(木)、渡部 由記子先生の「やる気を引き出す"魔法のレッスン"3回シリーズ」の第1回「ハノンの指導法」講座を日比谷スタインウェイサロンにて、開催いたしました。

当日はカラリと清々しい晴天。受付時間のずっと前から並んでくださった方も多く、その列は会場の外にまで続きました。予約済の方、わずかな当日券を求めていらした方で会場はぎっしり埋め尽くされました 。      
 また、この日はDVD作成のため、複数のカメラが会場内に待機。参加者の邪魔にならないよう、そして先生の手元がよく写るよう、朝から入念なカメラチェックを行い、準備万端で皆さんをお迎えいたしました。

 はじめに、先生の「ピアノ教育に対する基本理念」から講座はスタート。
先生はピアノを通して、子供たちに、人生で大切な目標に向かう達成の仕方を身につけ、自分の力で人生を切り開き、自分の翼で自由に羽ばたける人間になってほしいと願っています。そして自分で考え、自分で乗り越える力をつけるために、ピアノがとても有効である、というお話をされました。

 いよいよ本題の「ハノン」の指導法です。
ピアノを習う人のほとんどが使用するハノン。美しく表現豊かな音で弾くために必要な指の「独立性」「5指均等性」「強さ」「敏捷性」「音のツブ」「左右の均等性」「手首の柔らかさ」は、ハノン60曲をきちんと練習することで、すべて得ることができる、と先生はおっしゃいます。ハノンを、ただ指を動かすだけのウォーミングアップ教材と捉える人が多いかもしれませが、先生は「ハノンは耳の訓練のための教本」と位置付けておられます。

 わかりやすい音型、しかもゼクエンツで構成されていることから、譜読みが楽であるため、左右10本の指の「音」を比較しやすく、自分の音をよく聴くことができます。さらに演奏に重要な、指に重力をかけること、上手に脱力することもハノンで学べます。

 実際の使い方ですが、「暗譜で弾く」「片手ずつで弾く」「左右同じポジション(同じ音域)で弾く」ことがポイント。先生は指導されている60曲すべての方法を説明され、実際にやってみせてくださいました。

 先生の指導の特徴は、取り組む順番です。皆さん驚かれるかもしれませんが、1番からではなく、なんと、45番からスタートします。そしてどの曲も、まず弾くのは上行形・下行形のそれぞれ1小節のみ、もしくは次の小節の頭の音まで。この数音だけを、求められる音で確実に弾けるようになるまで練習を重ねます。すべてを弾くのはこれがしっかりできてからです。

 子供の場合、すべての音をきちんと聴きながら弾くということは、なかなかできることではありません。しかし、1小節であれば、その音のみに集中して「聴く」ことが可能です。特に最初に練習する45番でまず行うことは、「ドレ」の2音のみ。これなら小さい子でも十分に音に集中することができます。
  
 さらに重要なことは、できているかどうかの判断を必ず子供にさせるということ。
弾いた後に必ず「今のはきちんとした音だった?」「指の形は?」「手首は?」などの問いかけをします。決して子供が答える前に「今のはよかった」とか「できていた(いなかった)」など、判断することばはかけません。これにより、きちんと音を聴いて弾かなければならないこと、心をこめて集中して弾くこと、の重要性を子供自身が認識できるようになります。

 最後に、質問コーナーもあり、時間をオーバーしましたが、ひとつひとつの質問に丁寧に答えてくださいました。

 ハノンすべてのポイントとなる音・手首の使い方・練習の方法、などを説明していただいたことは、今後の指導に大いに活用できると感じました。何より、自分自身がもう一度ハノンと向き合い、すべてがきちんとできているか、洗いなおすことをしたいと実感しました。

(Rep:ピティナ日比谷ゆめステーション  中前 浩子)

 

 

 


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