2010年11月29日(月)大阪池田のフェリーチェステーションにおいて、今井顕先生による
セミナー「なくて七癖、ピアニスト」-「いきいきと」ってどうするの?が開催されました。
日本のピアノ教育の現場において、重要な役割を担うソナチネアルバムを紐解き、
現在、出回っている版の問題点、教材としての利用法をスライドや先生ご自身の
演奏で分かりやすく解説していただきました。
その中で、メロディ-に表情をつけるために欠かせない、「抑揚」の問題や
音の長さやバランスに対する意識を高めることの重要性も解説していただきました。
ソナチネアルバムを参照してみると、編集の際に加筆される事はよくあることですが、
原曲とかなり違った解釈になっている曲が多く、不自然な表記があまりにも多い
ということに参加者は驚いていました。
作曲者自身の表記のように演奏すると「ああ、なるほど、これなら
アーティキュレーションも自然に感じられる」と納得できるものが多数ありました。
古典派とロマン派におけるスラーの意味や、用法の違い、アウフタクトの感じ方、
曲想と表記との違いによる不自然さ、スタッカートの捉え方などを解説していただき、
どれも目からうろこの内容でした。
先生が校訂された「ソナチネアルバム」を拝見すると、作曲された当時の楽譜を
再現されており、楽式のポイントも明記され、指使いも複数が提示されており、
演奏者のレベル、手の大きさなどにあわせて選べるようになっています。
また、従来の楽譜と違い、各楽章の冒頭部分も目次に掲載されていたり、
巻末には、大変分かりやすい作曲家や曲目解説、演奏の手引き、楽語解説などが
掲載されていますし、第2巻には、作曲家自身が書いたアンサンブルの楽譜も掲載
されています。
アンサンブルによって得られる効果(ブレスの重要性、アインザッツの意識、自分勝手な
テンポの揺れの矯正、ディナーミクやボーイングの意味や目的の理解)も解説して
いただきました。
楽譜選び、読解に対するこだわり、指導する際に作曲家自身のメッセージをもっと
指導者自身が大切に考え、後進に伝えていく意識を高めなければならない、
と強く思いました。
(Rep:ピティナ池田フェリーチェステーション)