2010年10月14日(木)、東音ホールにて、
斎藤信哉先生の「指導者向けピアノ解体セミナー」が開かれました。普段聞きたくてもなかなか聞く機会の少ない調律の世界、
今回いろいろなお話を伺うことが出来て 、有意義な2時間でした。
♪ まず初めに、 '引く・下げる'という感覚の根付いている日本人に比べ、'突く・上げる'という感覚を持った西洋人。彼らに合うように、ピアノは作られている、というお話でした。その'上げる' という意識を持って弾く事が良い音につながり、とても大切なようです。日本の太鼓に使われているバチはとても硬い材質ですが、西洋のティンパニーのバチは、やわらかくしなります。また、ピアノのハンマーのある部分を、押すととてもよくしなるそうです。この様な事を知っていると、もっと良い音を出せそうな感じがします。
♪ また、皆でピアノを解体し、鍵盤のしくみや構造を間近で見て、
知ることが出来ました。
・ハンマーについているネジの締め具合1つでも音が違ってくる
・フロントピンを磨くだけでも音は変わる
・鍵盤もハンマーも円運動をしていて、それらの絡み合いで音が出る
・鍵盤の深さを調節しているのは5円玉 のような厚さの違う紙だったり・・・とても貴重な経験でした。
調律をお願い しているときは、調律師さんにまかせっきりにして退室してしまいがちですが、一緒に調律しているところを見て、いろいろと知ることは、良い音作り のヒントにもなるそうです、ついこちら側も遠慮してしまいがちですし、同席を嫌がる調律師さんも中にはいらっしゃるそうですが、斉藤先生は、同席することをお勧めしてらっしゃいました。
♪ 先生の著書のタイトルにもなりました、ピアノはなぜ黒いのか・・・湿度の 問題のある日本では漆という日本特有の塗装があり、それが適していて使われていくうちに、黒いものというイメージが、定着していったのも理由の1 つではないかという事でした。著書も、読ませていただきましたが、とても 興味深く、目からうろこのお話ばかりでした。
♪ 最後には、調律師にオーダーしたい10の項目があげられました。鍵盤の深 さ・高さ・重さ・硬さ、音程のチェックなどが挙げられましたが、帰ったら 自分のピアノの診断をしてみたくなるような思いで、ピアノの調律への関心 も一層増し、本当にあっという間の時間でした。
(Rep:東京音楽教材研究会 山崎実香)
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