2010年4月3日(土)、スガナミ楽器 町田店2階ハーモニーホールにおいて武田一彦先生公開講座 『楽曲・奏法研究 』-曲の魅力を引き出すタッチ・ペダリングとは- が開催されました。
2010年度ピアノコンペティション課題曲A2級からC級の課題曲47曲を取り上げ 、午前中はB級、午後はA2、A1、C級の解説 となりました。午前、午後の講座の間にはトークコンサ ートを開催。 C級課題曲を中心にプログラムされたコンサートでは、楽曲の構成などを解説してくださいました。
コンサートの中で特に印象深かったのは 、同じ曲(ベートーヴェンのバガテル)を2バージョンで
演奏してくださったこ とです。
講座の中で、演奏家による奏法の違い、 また校訂の違いによる奏法の違いなどのお話もありましたので、こうして目の前で違う奏法で演奏してくださると、一様に固定概念を持たず、楽曲に対し深い解釈と理解を深める努力が必要であることを実感しました。
講座では、終始スクリーンに武田先生の手元が大きく映し出されていました。
鍵盤に触れる指先や関節、手首の様子を先生が細かく解説しながら弾いてくださり、
とても分かりやすく、良い試みだと思いました。
タッチ感は言葉だけでなかなか理解でき るものではありませんが、指の「腹」(面)の使い方
など音色を創り出していく様子は、生徒にそれをさせる、というより、指導者自身がまず
自分で音色創りの実習をしっかりしなければと意識を新たにしました。
ペダルについても多く時間を割かれていました。
小さい学習者に対して配慮が必要だとの前置きがありましたが、音色を創っていく過程、
また音楽表現していく上で、ペダルをどのように有効に使用していく か、A級の小さな曲にも
使用可能な曲があるというお話には、勉強の過程でそういった「響き」を耳で 経験させていく
のは大切なことのように思いました。
ペダルの「濃さ」(深さ)の使い分けも 、特に時代ごとの奏法には必要で、それぞれの時代の
楽器の特性をしっかり考慮した上でペダルの量をコントロールすることが大事だということを
武田先生の演奏を聞き、さらにその違いがしっかりと分かりました。
武田先生のお話で良く出てきたのは「余韻を聞く」ということです。
「弾く」という行為に満足するのではな く、音を創る前はもちろんですが、音を発声させた
その後(音の切り際)を いかに「聞く」かがペダルも含めた音色作りにいつも必要だと
言うことをどの級の説明でもされていました。
最後にコンペティション課題曲セミナーとして 開催された講座でしたが、単に
コンペティションのためだけではない、通常的にいつも意識していなければならないことを
多く学べた講座でした。
長い時間の講座にもかかわらず、受講者が良い集中力を持って勉強できたように思います。
武田一彦先生、ありがとうございました 。
(Rep:ピティナ町田支部 田中貴子 )
【GoogleAdsense】