2010年3月11日(木)、東音ホールにて
「美しいスラーとスタカート-導入から上級へ-」
日比谷 友妃子先生のセミナーが開催されました。
先生はスラーとスタカートの演奏方法について、導入期、中級、上級に分けて解りやすく説明してくださいました。
◆導入期 使用教材:トンプソン、バーナム
まず動作(登る、歩く、ホッピングする等)を生徒と一緒にやってあげて、その後歌ってあげる。
それによって生徒は曲としてのイントネーションをつかむことができる、ということです。
◆中級 使用教材:バイエル、ツェルニー100番、ブルグミュラー
スラーやスタカートを曲想やフレーズにより弾き分けることが大事で、そのための手首の
使い方、腕の使い方を分かりやすく説明していただきました。
◆上級 使用教材:バッハ、スカルラッティ、モーツァルト、ハイドン、ベートーベン、
ショパン、ブラームス、の各楽曲
バッハ、スカルラッティ:チェンバロで演奏されていてスラーやスタカートは楽譜に書いていない
ので、自由な発想で。スラーはカンタービレになりすぎないように。
モーツァルト:エレガントな表現で。スタカートは柔らかく。
ハイドン:モーツァルトよりめりはりがきいた感じで。スタカートは明快に。
ベートーベン:オーケストレーションを意識して。粘りがある音で。スタカートは弾いた後
押すような感じで余韻がある音で。
ショパン:全体的にしゃれた感じで。スタカートは軽く。
ブラームス:重たい動物が鍵盤の上を歩いているような感じで。がっちりと弾く。
シューマン:スタカートは思いものを持ち上げるような感じで。
☆「時代背景や作曲家を理解し、曲の構成を考えた上でスラーやスタカートを弾かなければ
いけません」というのが先生の締めくくりの言葉でした。
スラーやスタカートの弾き方一つで曲がまるで変わってしまい、「この曲はこう弾くのね。」
という発見がたくさんありました。
同時に先生の素晴らしい演奏に幸せな気分になった2時間でした。
(Rep:東京音楽教材研究会 多部田玲子(写真) 堀尾裕子(文責) )
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