2010年3月1日(月)10:00-12:00ヤマハミュージック東北
仙台店6Fホール にて、石井なをみ先生によるセミナーが
開催されました。
「楽しくなければ続かない!やれば出来る!!
(秘)スーパーレッスン術 -自分から進んで練習したくなる」を
テーマに、5つの内容でお話していただきました。
1.レッスンの形態 :日本とザルツブルクの違いから
2.4時代を勉強する意義:バロック・古典・ロマン・ 近現代
3.脱力とメカニック:6関節の使い分け
4.メカニックとテクニック:ツェルニーはメカニックの玉手箱
5.読譜と音色とタッチ:ライグラフ教授のメソードより
まず、レッスンの形態として、日本はどちらかと いえば「ティーチング」であり、受け身的で
言われたことをコピーする暗記型。生徒の年齢が小さければ小さいほどその傾向は強いように
感じられる。生徒自身ほとんど疑問を持たないため、おとなしいレッスン。
取捨選択はできるが、自分から意見を述べることは少ない。
一方、ザルツブルクでは「コーチング」であり、生徒自身が積極的に参加するレッスン。
非常に声が飛び交う。というように、日本とザルツブルクでは対照的な形態。
レッスンに来る生徒は、幼児であろうが受験生であろうが、1人の人間であることには
変わりないので、本人が納得するように相手を認めたコミュニケーションのあるレッスンを
すべきである。
そして、いつも明るく・楽しくを忘れずに「コーチング」で進めていくことが望ましい。
自分から進んで練習したくなるために、「技術的に難しい所」へ対応するためには、
「こういう風に弾きたいから、こういう方法で練習して、弾けるようになろう」という目的を
はっきりさせて、日割・週割・月割といった計画表を作ってあげて(かわいいノートに)、
取り組めるようにする。そうすることで、「分かる→できる→ものになる(定着する)」という
具合いに進み、楽しくやっていける。
また、「音楽的に難しい所」へ対応するためには、1つの助けとしてアナリーゼすることは
有効だが、それが全てとはいえない。
演奏をする上で、「頭→手→耳」というような流れは大切。まず、頭で曲の構成を整理し、
具体的に6つの関節のどこまでを使って弾けばよいか、スピードでいくか、重さでいくか、
そして自分が出している音をよく聴く。聴いて、その際にうまくいっていない音があれば
「自分の耳がしっかりついていくテンポ」までおとしてゆっくり練習することが必要ある。
耳には4つあって、まず音を出す前にイメージしている耳、次に弾く時の耳、そして弾いて
持続している音(タイの音など)を聴く耳、最後に終わる時の音を聴く耳がある。
中でも、音を出す前にイメージしている耳は1番大切で、これがあるかないかで演奏を
大きく良くも悪くも変えてしまう。
とにかく、自分で考えるということ。練習は、探し物をしていることであり、こういう風に
弾きたいという地図を描くことは大事。小さいうちから、譜読みさせて、音楽を組み立てて
いく勉強をしていくこと。
譜読みの段階で五感(目・指・耳・地図)をフルに使って暗譜させることも必要である。
4時代それぞれにおいて勉強できる内容を見た場合、
バロックは「形式の勉強」であり、楽譜を読む基礎づくりである。
古典は「構成の勉強」、 ロマンは「アゴーギグとペダリング」、
近現代は「描写的・絵画的な表現」。
それぞれ6つの関節の使い方も、手首を下げて指だけ→手首から→肘から→腰からと
時代によって変化する。
ツェルニーの練習曲は、ベートーヴェンのソナタが弾けるようにと書かれたもの。
テクニックの引き出し作りとしてやるとよい。例えば、15番は「アルペジオ」、
12番は「同音連打」、13番は「ローリング」、3・4番は「ドカンおばけ」など。
石井先生は、身近なものにたとえて、子供でも大人でも興味をひく言葉で次々と実際に
やってくれました。
最後に、ライグラフ教授のメソードについて、ピアノの発声練習として重力奏法 や、
指を上げないアフタータッチ、パリパリはっきりしたハイフィンガータッチ、
手首を柔らかく使うやり方など説明していただきました。
5つの内容、どれをとっても指導者の目がキラキラとなるものばかりで、あっという間の
2時間でした。石井先生の明るく、楽しく、分かりやすい実践はすばらしかったです。
また機会がありましたら、是非、参加したいと思います。
たいへん充実した時間でした。ありがとうございました。
(Rep:ピティナ仙台中央支部 志村和美)