今回は、ピティナでは長く広く大活躍をされていらっしゃる
田中克己先生をお迎えして、課題曲セミナーが開催されました。
A2級からD級まで(バッハインヴェンションとシンフォニア、及びC、D級のソナタの再現部を除く)の全曲解説とそれぞれの具体的な奏法、注意事項、及び全演奏という、3時間に及ぶ大変パワフルな講座でした。以下、各期毎に要点のみ を掻い摘んで記してみました。
≪バロック期≫
♪ ブレ、ガヴォット、メヌエット、ポロネーズ等の舞踊曲においては、活き活きとした拍感を守り、強弱はチェンバロのレジスターを変える程度にシンプルに。フレーズ毎の気持ちのコントラストやそのイメージを、必ず言葉として表すこと。
♪ 和声の変化で物語が変わる・・・長調、短調の違いを明確に捕らえ、調の変化は必ず裏付けのあるストーリーが展開されること。
≪古典期≫
♪ 1小節を1拍に執り、更に4小節を一つのまとまりとして感じること。
♪ 今回、多く感じられる3連符は、無理に入れようとせず、流れの中に柔らかなものが存在するかのように。
♪ リズム的アーティキュレーションをし過ぎず、形容詞で例えてあげる。
♪ 響きの透明度の違いも、和声の違いから来るものである。
♪ C級になると、左手が上手に弾けることが大事。
♪ D級では、楽節毎のコントラストを意識し、更にドラマの組み立てやメカニカルなテクニックも必要となる。
≪ロマン期≫
♪ 様々な打鍵、ペダルのテクニック、テンポの変化が要求される。
≪近・現代≫
♪ A級の易しい曲の中にも、要求されていることが多くある。
♪ やはりペダルのテクニック、音色や響き、またストーリーをイメージすることが大切である。
★以上、休むことなくエネルギッシュに講座を進められ一貫して、
"調の違い、変化を意識し、その時点で常に子供とコミュニケイトして、ストーリーを
連想させて、必ず何がしかの言葉として表すこと。"
と仰っていらっしゃいました。
子供が大好きな、優しいお兄さん先生と言った感じの、田中克己先生でした。
(Rep:東京音楽教材研究会 鈴木慶子先生)