2009年3月13日雨模様の中、國谷尊之先生をお迎えしての課題曲セミナーは静かな感動の連続でした。
何度も繰り返しおっしゃられた「これは将来必ず役に立ちます」という言葉に象徴されるように
"課題曲を演奏する上での重要なポイント"、"着目すべき点" 等は、
子ども達を指導していく上での長期的な視点に欠かせない要素となるでしょう。
『子どもの成長の過程を大切に、その時期に合った曲を与え、一人一人の"音楽"を
無理なく育てていく』、という國谷先生のお考えを一貫して感じました。
★四期ごとのポイントとして、
★バロック★
♪ 左手にある戦慄の表情を大切に。
♪ モチーフの一音目から良い響きで発音する。
★古典★
♪ オーケストラの楽器を想定する。
♪ 強弱は、演奏者の人数が変わるイメージで。
★ロマン★
♪ 指と腕の関節の連動性を身につけたい。
♪ 指でレガート、次にペダル、と心がける。
★近現代★
♪ ペダルを踏む際、指先のタッチの選び方にまで気を配る。
♪ 拍の感じ方の多様性。
等を教えていただきながら、同時に日々のレッスンへのヒントがたくさんの宝物 のようにちりばめられたお話が続きます。
♪ 3の倍数の拍子を持つ曲は、4小節一まとまりと考える等して大きな単位で捉える。
♪ 離鍵の仕方で音の切れ方が決まり、それによって、音楽全体のイメージは左右される。
♪ メロディは顔、和声はその内側の筋肉。
♪ ブレスする時は、腕の動きにも気をつける。
★これらを体現するため、示していただいた様々な練習方法の中でも特に、
手の動きを両足に置き換え体感すること は、大変印象深く、当日午後からのレッスンで、
生徒と共に挑戦。効果は晴らしかったです。
★作曲家の作風に関するお話も興味深く、ベートーヴェンは聴く人を裏切る!には苦笑。
「ベートーヴェンの作品には弾き難い箇所が多いけれど、一つずつそれぞれの声部にとってのベスト、を探す努力をすべき。短気を起こさずに!」
とにっこりされる國谷先生でした。
★受講生全員のリクエストにも丁寧に解説、実演してくださり、皆さん大満足されたことでしょう。
『常に理想像を追っていく。それによって、得られる物はとても大きい。』
心に響くこの言葉が一番のお土産となり、この先、迷い悩む場面では救いとなってくれるはず、
と感じました。
國谷先生、課題曲を通じて音楽に浸る喜びをいただき、本当にありがとうございました。
(Rep:ピティナ豊橋支部 梅田和子先生)