東京音楽教材研究会2月講座
講師:深谷直仁先生
~正しい練習で才能も開花 - というテーマで、開催されました。田村響さんはじめ多くの優秀なピアニストを指導された実績のある先生のお話とあって、80人近くの方が東音ホールを埋めました。
- はじめに・・良い演奏をするためには、生活体験の中で様々な学習を通じて、学んだ知識や感動などが、必要不可欠であることを、ご自分の体験談から、話されました。先生は、小学校低学年でハーモニカのさぐり弾きをはじめ、高学年の放送部でクラシックの良い音楽を沢山聴き、中学の合唱部で基礎を養い、高校には声楽で入学し、15歳からピアノを始め、ブルグミュラー25曲を2ヶ月、ツエルニー30番を3ヶ月、2年後には、ワルトシュタインをものにし、ピアノ科に転科されたとか。ピアノだけしていても駄目だそうです。
- 練習の質と量について・・音楽学習は、語学学習に似ていて いかにボキャブラリーを増やすかが大切だから、なるべく沢山の曲をこなすこと。
- 良い練習とは・・早く間違えずに弾けるようになって、そこから表情豊かに表現できるかを練習すべきである。「三日後には間違えないで弾けるように」等と目標をたてて、1週間後のレッスンには完璧な演奏をできるようにする。
- 良い練習をする為に必要な基礎力とは・・音程や音階から調性・和音を読み取りながら読譜する力そして早く暗記する力 これらが必要である。
- 練習時間と練習期間・・一流のピアニストは、読譜に時間がかからない。「出来るまでは短く、出来てからは長く」演奏解釈など一生かかっても答えはないのだから。
- 初見練習とは・・初見は、多くの練習要素を同時処理していく訳だから練習の質が高まる。一回目から間違えないことを心がけること。
- 上達の秘訣は・・徹底と継続である。
- ゆっくり練習することは・・音さえ理解できたらいつまでもゆっくりしていないで、インテンポで練習すればいい。どこからでもさっと弾けるように部分練習をしっかりしておく必要がある。
- 教師に求められる分析力・・先ず先生が練習して、生徒の練習振りを見抜けるようにしておき、適切なアドバイスをできるようにすること。
- やる気をもたせるには・・親と子と先生が三位一体となって、努力を認めてあげて、曲や作曲家を理解させ、また目標を持たせて引っ張っていくことが大切。
- 目標があれば頑張れる・・技術の克服・イベント・好きなピアニストなどを目標にして頑張る張り合いにするとよい。
- 幼児期の練習・・レッスンで練習してあげなければならない時期は、レッスン回数を増やすとよい。
- テクニックについて・・まず良い耳をつくることが大切で、耳を使って聴きながら弾ける精神状態にもっていけば、よい演奏につながる。曲が難しすぎるとテクニックにのみおわれ、良い演奏にならない。必要性を感じたときからハノンを始めそれまでは、曲の中で綺麗に弾くことで体得していける。
お話の中で、リストの、「良い練習をしていたら、テクニックが身についた。」という言葉が心に残りました。弾くたびに、綺麗に良い演奏をする事を心がけることが、効率的な良い練習になるようです。間違えないで弾けたらそれで完成と、生徒が誤解しないように指導していこうと思いました。
(Rep:東京音楽教材研究会/秋葉和子先生)