林 苑子先生「作曲家による弾き分けと基礎テクニックの応用」レポート
2007.10.11東音ホール於いて、林苑子先生の「作曲家による弾き分けと基礎テクニックの応用」というテーマで講座が開かれました。
「初期ロマン派・・・とても素敵な作品があるのに日本ではあまり大事にされていない・・」というハッとするようなお言葉から始まった講座、まだ見ぬ新しい発見がありそう!と、期待に胸を膨らませながら講座は始まりました。
前半はバロック・古典・ロマンに分け「楽器の変遷と作曲技法について」というお話でした。鍵盤数の変化や性能の進化、作曲技法にもそれぞれの時代に特徴があり、ロマン派の例では、ひとつの和音からすばらしい伴奏ができる天才作曲家たちの作品をとりあげ、解説を交えながら弾いてくださる林先生の素敵な音色に引き込まれてしまいました。
後半は「エチュードの役割と限界」というお話でした。ハノン・チェルニー・バッハを特に取り上げて、手の内側がしっかりしているかなど手指についてのお話と音階の理解、そしてカデンツの大事さ、鍵盤を弾く位置によって違う「音の響き」などが印象に残りました。バッハでは耳のエチュードでもあるということから様々な練習法や特に左耳の鍛錬が必要だという見落としがちな点を教えていただきました。
林先生もお使いなっているバーナムテクニックやピアノの練習ABC、シューマンユーゲントアルバムから10数曲ピックアップし練習の細かなポイントや手首の使い方に至るまで、すぐに試してみたい!という方法を、身振り手振りを交えて教えて下さいました。
締めくくりには指導者へのアドバイスをいただきました。
◎レッスン前には生徒が弾く曲を練習しておく。
◎生徒が弾いているとき楽譜ばかり見ず生徒をよく観察する。
◎次の宿題を先生が生徒に弾いて聴かせてあげる。
◎子供たちに夢を与えるような指導を・・・
林先生のお人柄がとても感じられ、いつまでも忘れないように持ち続けていきたい心に残るお言葉をたくさんいただき講座は締めくくられました。
(Rep:東京音楽教材研究会/眞下孝子先生)