「同じ曲を作曲家、ピアニストそれぞれの視点からアプローチしたら!!」という、ビックな企画が、城北支部 文京アナリーゼステーション 葛飾ステーション共催で9月20日開催されました。
講師;東京藝術大学講師秋山徹也先生・ピアニスト杉谷昭子先生
教材;ブルグミュラーより無邪気、アヴェ・マリア、ソナタ形式の例からバイエル104番 クレメンティOp.36-1 1楽章、バッハインヴェンション4番
限られた時間での講座でしたが、それぞれ興味深い内容でした。
秋山先生からは、「良い演奏をするために」ということをメインにお話いただきました。
和音の色・調性・形・リズム・和声法・楽式・対位法を基に譜読みをしてふさわしい表現を考える。そして、想像した響きに成るように練習していく。時には自分で表現を考えていくことも必要。その曲のふさわしい弾き方がわかってくると近づこうと思い、練習にも熱が入っていく。そのようなお話から、和音の色彩がわかると、楽譜に強弱、表現記号が書かれていなくても自然な表現で演奏できる。また、アナリーゼして音の意味がわかることにより、不自然な表現にならない。
バッハ、ソナチネは、構成を考えることが曲全体の組み立てに大いに役に立つ。などなど!!
作曲家がその曲をどのように熟考して作ったか!手に取るように1曲1曲お話下さいました。
杉谷先生は、ご自身の事を振り返りながら、今日まで日本のピアノ教育界の問題点・国際ピアニストのエピソードをお話下さいました。
どうしたら、一流の演奏家のように弾けるか?と悩み苦悩した学生時代。ヨーロッパに居を構え建物、湿気の違い教会の響きなどにより作り出す音・響きが違ってきてそれによりご自身の曲へのアプローチ 演奏も理想に近付いてきた事。
ピアノの鍵盤の底までしっかり打ち下ろす?硬い不自然な響きに慣れてしまうと曲を表現することはできない。と、ピアノを弾く上での重大なアドヴァイスがありました。
硬い音と暖かい音どちらが良いか?と同じ曲を弾き比べると後者の方に手が上がり、皆求めていることは同じなのでしょう。では、どうしたらよいか?鍵盤にできる限り指を近づけピアノのエスケープメント・レベルを大切にして、1音1音立ち上がりよく響かせていくことを実演して下さいました。
バッハは当時の楽器を考え拍を大切にまとめていくことが良いとおっしゃっていました。
お二人の先生とも作曲家の意図を大切に行間を読むように曲と向かい合っていました。
秋山先生のソルフェージュ力はバランス 音色まで聴き分ける力です!杉谷先生の超一流に接し近付こうと努力することが大切!と締めくくられたお言葉を伺い 故福田康子先生の理念「教育は高きに流れる」を思い出した講座でした。
(Report;城北支部/木村 理恵子先生)