7月13日(金)ヴェルク横須賀にて、酒井直隆先生をお招きして「手の痛みとピアノ奏法」というテーマで講座を開催しました。
1. 人間の手の構造とピアノ」奏法
2. 歴史的ピアニストはどんな手をしていたか
3. ピアニストの手の障害
4. 現代ピアノ奏法の探求
5. コンピューターによるピアノ演奏の解析
6. ピアノをめぐる新しい試み
以上、6つのテーマを写真、ビデオを交えながらお話ししていただきました。どのテーマも興味深く、先生の解説は分かりやすくテンポよくすすめられ、とても短く感じられた2時間でした。
受講した先生方からは、
・「医学的な見地からの障害の解説、オクターブや和音の練習が原因となりやすい、などのデータが興味深かつた。」
・「自分の体の使い方をよく知って、奏法だけの研究にとどまらず脳の使い方に気を配ることが大事だということがわかった。」
という感想をいただきました。
名ピアニストの手が思ったより小さかったこと、またホロヴィツツの奏法の解説もとても興味深いものでした。障害者支援という観点からハイテクノロジーの研究もされている酒井先生のお話しをうかがい、私たちピアノ指導者も視野を広く持って社会に貢献していかねばと、強く思いました。もう少し時間があれば......という心地よい欲求不満を残して2時間の講座の幕を閉じました。
酒井先生、そして受講してくださった先生方、ありがとうございました。(Report: よこすかステーション 伊勢田宏子)
【当日の参加者レポートより抜粋】
♪筋肉や神経は実際に目にふれるわけではないので、医学の立場から解説があってとてもすっきりしました。手の痛み=腱鞘炎ではないこと、生涯が起こった原因が単に練習量の多さではなく、オクターヴや和音の練習の時おこりやすい、というデータを拝見して興味深かったです。ストレッチ体操だけでなく、反射を高める体操も是非知りたいと思いました。
ピアニストの手の障害の分析にとどまることなく、それを医学的に治し、さらに工学と結びつけて新しい物を創造していかれる力に大変感動しました。
♪脱力と重量奏法のセミナーに長い時間をかけて研究していましたが、それだけではダメだということが今日わかりました。椅子だけでも色々な座り方、タッチも一見指先が沿っているように見えても(ホロヴィッツのように)瞬間的にひっかいて載せていて、脳でイメージしたモーツァルトの音色を自分なりに一番良い選ばれたルートを選択して音楽表現に結び付けていたのが、ビデオでよくわかりました。
「これだと、こうでなければいけません!」と長い間先生に言われてきましたが、結局自分の体の使いかたをよく知って、指だけに頼らず、脳そのものの使い方に気を配ることが自分の音楽を表現するのに大事だということがわかりました。