5月13日(日)、ぱるるプラザ京都にて、京都支部会員、松田紗依先生による講座「ロシアンピアノ奏法に基づく合理的な練習方法」が開催されました。練習曲、コンペ・ステップ課題曲、自作曲によるテキスト等から「つまずき」が起きやすい箇所を抜粋し、解決策をご説明いただきました。
まず手指の構造からお話が始まり、姿勢の大切さ、ひじ・手の角度や打鍵位置、目の使い方・軸の使い方・神経・骨のイメージなど、奏法に合わせて詳細に教えていただきました。また、「おばけの手」「シフォンケーキ」「バターの中の手」など、先生は様々なイメージの引き出しをお持ちで、その場に応じてサッ!と取り出して役立てるのは見事でした。時には物理の実験?やスケッチブックも登場!あらゆる事にピアノを弾くためのヒントが隠れている、と気付かされます。
「鍵盤と指をなかよくさせて・・・」とリラックスした雰囲気の中、実際その場で指導を受けた聴講者も、先生のアドバイスで音が変わる、弾きやすくなることに納得された様子。アンケートでも「詳しくわかりやすかった」という感想が多数寄せられました。
先生は導入期のレッスンから、1つの音、1本の指から美しい音を求めることを提唱されています。「テクニックはすぐには身に付かない、ミルフィーユのように少しずつ積み重ねていくもの。」と先生ご自身、試行錯誤を重ねながらも、好奇心旺盛に、楽しみながらピアノに取り組まれてきた姿勢が感じ取れました。
魅力あるリズミカルなお話で、109名の聴講者(遠方は富山・埼玉からも)を惹きこみ、充実した2時間の講座は終了、その後の質問にも丁寧にお答え頂きました。
真のテクニックは、豊かな心、感性の上に築いていくもの。指導者として目先の結果だけにとらわれず、音楽を奏でるということの原点をいつも忘れずに技術指導にあたりたい、と再認識した一日でした。今度は導入期の指導など、テーマを絞った講座でもお話を伺いたいです。(Report:今村葉子)