「ドビュッシー・プロジェクト」を組み、ドビュッシーピアノ全曲演奏会、CD録音、楽譜校訂を行っている中井正子先生をお迎えしてのお話は、内容豊富且つ簡潔で、東音ホールを埋め尽くした多勢の先生方は熱心に聴講していました。
講座内容は、「来年没後90年を迎えるドビュッシー自身は近い存在だが、これまでの楽譜は誤りが多い。ドビュッシーの様式やフランスの伝統に外れない演奏が出来るように。スタイルを残したい」と校訂された実用版楽譜を使用しての、全6曲の分析、演奏でした。音楽家・父親として・上流階級のサロン・当時の流行は英国風・等の話を織り交ぜながら、いろいろな音階の組み合わせ、モチーフの発展・変化、形式の無い形式、曲中のスペイン・アメリカ的部分など1曲ずつの特徴を明確にして頂きました。他にも、
◎ 響きの微妙な変化を集中して聴き取り、弾き表せる事に重点を置き、そこに楽しみを見出す。
◎ ソルフェージュ能力が大変重要で、小さい時から正確に読み取り、理解し、演奏に結びつけるという教育をしっかり生徒にしてほしい。
と話され、ドビュッシーが描いた音を忠実に再現した多様な弾き分け、ハーフペダル・ハーフタッチの響きの違いを聴かせて下さいました。
最後に、「なんてきれいな音!!という音をふんだんに使って下さい。」との中井先生の言葉は魂に響き、充実した2時間の講座は締めくくられました。(Report:坪田暁子)
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