2007年2月8日(木)、仙台中央音楽センターに於いて菅野潤先生の「Mozartのピアノ音楽~その奏法と指導ポイント研究~が開催されました。全4回のシリーズで、今回は昨年10月に続き2回目の講座でした。
講師の菅野先生は塩竈出身のピアニストで、現在ではパリを拠点とし国際的に活躍していらっしゃいます。昨年末の12月には東京と仙台でオールモーツァルトプログラムのリサイタルを開かれ、その上品な音の響きと知的な音楽構成で観客を魅了したばかりです。
今回の教材は「ウィーンソナチネ」より第1番、第6番、ピアノソナタKV332でした。
ウィーンソナチネはもともと2本のクラリネットと1本のファゴットのために書かれた作品を無名の作曲家が編曲したものとされています。弾きながら解説してくださる先生。「ここではクラリネットとファゴット、それぞれの楽器の特徴が出ていますね。」「ここは3本の管楽器が独立したメロディーを担当しています。ポリフォニーの練習です。」「管楽器らしい鮮やかな転換といえますね。」丁寧な解釈に先生の美しい音が加わり「なるほど・・・」と思わされます。「純粋なピアノ作品ではないけれど、管楽器の音をイメージして弾いたり、ピアノ曲以外の作品に触れるという意味で勉強になりますね。」という先生の言葉どおり、指導する上で新たな視点が加わったように思います。
続いてソナタKV332。よく聴くこのソナタも先生の手を通すと生まれ変わるかのようです。「ここはまるで『魔笛』に出てくる3人の童子ですね。」「ここは夜の女王・・・ドン・ジョバンニにもこんなフレーズがありました。」弾きながら、解説しながら先生は曲以外のこともたくさん教えてくださいます。オペラやピアノ以外の作品のことはもちろん、アマデウスの語源、ヨーロッパの地理、モーツァルトの父親の話、当時の楽器のこと、楽譜を書いた紙のことまで・・・。「少し話はそれますが・・・」という先生の言葉が嬉しかったりするのです。
120分間、休憩もとらず熱心に教えて下さった菅野先生。その内容の深さに私たちも時間を忘れて聞き入り、ますますモーツァルトの音楽に深い魅力を感じることができました。そしてもうひとつ、ここでうまく報告ができないのが先生の演奏です。「Jeu Perle (真珠のような演奏)」というフランスの言葉そのままの、美しい響きの音。ひとつひとつが輝いて連なる、真珠のネックレスのようなモーツァルト。贅沢なひとときでした。第3回が今から楽しみです。