バルトークのピアノ教育作品の演奏法・指導法~パップ晶子先生~
「最近新しいバルトークの本が出た様ですね、これを機会にもう一度勉強し直してみたいです」。この講座が開かれたのは、教材研究会員のこんな声がきっかけでした。私も何年も前からミクロコスモス全6巻を持っていながら、ほとんど活用していなかったのですが、今回この講座で、バルトークの魅力を新しい目で見る事ができ、生徒にも弾かせたいし、私自身も弾いてみたいという思いになりました。
講座は、バルトークはロマン派終焉の時代に生きたので、古い時代を打ち破る何か新しい作品が求められていた事、そこでハンガリーの山岳・農村地帯を30~もある録音機器を持って民俗音楽を採集し歩き、それを作品に仕立て直した事など、歴史的背景についてのお話から始まりました。更に、下記の作品についての詳しくお話を聞くことが出来ました:
◆<<10のやさしい小品 ─ No5>>。 ハンガリー5音音階/Parlando(言葉のリズムによるルバート)/giusto(刻むようなテンポ)/5音音階堆積和音 以上のような言葉で集約される。
◆<<子供のために ─ No1・31・40>> バルトークは、楽譜に細かく指示しているので、それを正確に守ること、その上でこの地域の複雑な歴史、アジア起源・気性の激しい騎馬民族の特色などを考慮すると、より良い演奏になる。
◆<<ルーマニア民族舞曲>> これは3500曲も集めた民俗音楽を、組曲7曲に仕立て上げた作品。パップ先生が歯切れよい、心地よいリズムで弾いて下さいました。その上、バルトーク資料館に残っていた元歌の録音も聞くことができ、感激しました。
他に、<<ピアノ初心者のために>> <<ミクロコスモス>>についても、先生の生演奏、豊富な映像、音響資料付きでお話しいただきました。参加者の方々の「素晴らしい講座でした」と言う感想と、最後にバルトーク自身による「ミクロコスモス第6巻153番」の録音演奏が聴け、感動!感動!の一日でした。
(Report:尾関知子)