【実施レポ】ピティナ研修会~巣鴨・金子一朗さん~

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2006/05/25

060525kaneko.jpg 5月25日(巣鴨の東音ホールにてピティナ本部スタッフ研修会が開催されました。講師は2005年度特級グランプリの金子一朗さん。テーマは「特級グランプリ獲得までの軌跡~社会人として限られた時間で作品を仕上げる具体的な方法について」。今回は外部の方の参加もあり、30名近くが集まりました。

 指のケガがきっかけで考えたこと、独学から独力で限られた時間で作品を仕上げる方法を中心お話いただきました。まず、自分にとって人前で演奏することは何であるか。それは画家が風景画を描くことと変わらない。作曲家が楽譜に残したこと(風景・構図・心象など)を、ピアノ(というキャンバス)で表現すること、と述べられ始まりました。金子さんは大学に入ってピアノサークルの先輩に言われた一言で、自分の演奏が真似であることに気付かれたそうです。模倣ではどんなにうまくても存在価値がないと考え、大学を出る頃から2年間、和声・音楽史・対位法など一から学んだとのこと。この2年間は自分の演奏を変えることになったそうです。少しでも模倣から離れるために、音源を聴かなくなり、オペラなどピアノが入っていないものを聴くようになった、とここまでに至る経緯もお話いただきました。

 さてそんな金子さんはどのように作品を仕上げけるのか。まず、可能な限り最新の原典版の楽譜を使う。その時代の歴史背景を研究。次に、曲の構造や和声を分析する。その際、ピアノで音を出してしまうと「雰囲気」しかわからないため音を出さず、イメージを膨らませていく。この他、指使い、タッチとペダルの組み合わせに至るまで、詳細に決めていく。暗譜は、作品をきちんと理解していれば次に何がくるのかわかる。構造を理解してこそ暗譜である・・・etc。

その他、練習や技術、本番について様々なことをお話いただきましたが、金子さんが社会人でありながら、なぜコンクールでグランプリを獲得できたのか納得、また大いに見習う点があると実感したひとときでした。(Report:橋本杏里)


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