パリ発ショパンを廻る音楽散歩

はじめに

2008/01/01

 ピアノを愛する人なら、誰もが一度は憧れる作曲家、ショパン~ところが、ショパンの魅惑的な調べを実際の音にしてみると・・・!そのあまりの気難しさに途方に暮れてしまった方も多いのではないでしょうか?
かくいう私自身もその例に漏れず―長い間、私にとってのショパンは、追いかければ追いかけるほど遠ざかってしまう"片想いの作曲家"でした。
 そんな私が、19世紀前半のパリを訪れてショパンのレッスンを受けた、レンツという音楽愛好家(ディレッタント)による回顧録『パリのヴィルトゥオーゾたち』の翻訳をきっかけに、再びショパンの作品に、また、パリの上流階級を魅了した彼のライフ・スタイルや当時のパリの音楽事情に、改めて心惹かれるようになりました。
 革命の狭間で急速に変貌していくパリを舞台に、時代の流れに身を任せながらもそれに翻弄されることなく、独自の美学を貫いて数々の傑作を生み出したショパン―病弱で体調も思わしくなかったというのに、ショパンはパリで暮らした19年間の間に、8回も引越しをしています!
(勿論、ウィーンで80回以上引っ越したというベートーヴェンの比ではありませんが...)
 そこで、今日から10ヶ月間、この頁からパリでのショパンの住まいを年代順に辿りながらショパンゆかりの地を訪ね、ピアノ界のアイドルとして活躍したショパンを通して、その背景となったロマン派の時代について考えてみたいと思います。


中野真帆子
なかのまほこ◎4歳よりピアノを始め、10歳の時、NHK教育TV「ピアノのおけいこ」にレギュラー出演。ウィーン国立音楽芸術大学を経て、パリ・エコールノルマル音楽院コンサーティストを審査員全員一致で修了後、カナダ・バンフセンターにて研鑽を積む。ロヴェーレ・ドーロ国際音楽コンクール優勝をはじめ、アルベール・ルーセルピアノ国際音楽コンクール第4位、及びルーセル賞、マスタープレイヤーズ国際音楽コンクールピアノ部門第1位など、ヨーロッパ各地のコンクール入賞を機に、ソリスト・室内楽奏者としてアジア・カナダ・ヨーロッパの音楽祭に参加。帰国後はフェリス女学院大学音楽学部で後進の指導にあたる傍ら、国内外での演奏、各種コンクールの審査員、TV・ラジオへのメディア出演、音楽雑誌への執筆・翻訳など、多方面で活躍し、2016年秋に国連帰属の世界公益同盟より日本人として初めてのメダル受章。著書に『ショパンを廻るパリ散歩』(2009)、翻訳書に『パリのヴィルトゥオーゾたち』(2004)、『ショパンについての覚え書き』(2006)、録音にキングインターナショナルより『LIVE』(2015)、『ロマンチック・タイム』(2016)。◆ Webサイト
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