ルイのピアノ生活

第90回 秋の色/ショパン:ノクターン op.48-1

2009/11/30
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皆さんからのピアノ演奏のビデオを募集しています。
この連載「ルイのピアノ生活」の下の部分に新コーナーを設けて、毎回何人かの演奏ビデオを紹介したいと思います。 美しければ(!)どんな演奏でも大歓迎です。
※採用動画にはルイ先生からの一言コメントがつきます(編集部注)
♪ 投稿されたビデオはこちら
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【投稿方法】
Youtubeのアカウントを作成してください。次はご自分のアカウントにビデオをアップしてください。
最後にはビデオへのリンクを以下のアドレスを送ってください。選ばれたビデオをこの連載上で公開して見られるようにします。ぜひ恥ずかしがらないで、たくさんのビデオを送って下さいね。お待ちしています!
応募先:soho*pianonet.jp (*を@に変えて下さい)
♪ 演奏
ショパン:ノクターン op.48-1  動画 動画:(YouTubeへ)
 

11月の初め両親と姉がオランダから日本に遊びに来ました。3人とも日本が大好きです!日本の人たちの優しさ、美しい神社や寺、おいしい食べ物(蛎フライがお気に入り!)、身体も心も温まる温泉・・・家族には特にこの季節に日本に来てほしいと思っていました。日本の秋は、僕も大好きな季節です。

京都は勿論ですが、近所の小さなお寺でもとても美しいです。秋の太陽で建物が少し暖かく見えて、影のおかげでコントラストがすごく綺麗です。夏と違って葉っぱも赤、黄色、オレンジ、緑、茶色・・様々な色をしています。遠くから紅葉を見るのもいいですが、一枚の葉っぱにも色んな色のグラデーションが乗っていて、一枚の絵のようにに見えたりもします。又、落ち葉の上を歩くと秋にしか聞こえない音も聞こえます。落ち葉の香りも、どこかなつかしい香りです。

今回の曲はショパンのc-mollのノクターンです。高校時代によく弾いていた曲です。ショパンの曲には普段にあまりない、リストのようなオクターブや、「怒り」に近い激しい表現が多い曲です。熱を感じる少しスペイン風のとてもカッコいい曲ですね。

やっぱりc-mollはとてもドラマティックで感情的な調です。ダークな色で木の香りがします。ベートーベンの悲愴ソナタの第1楽章や、交響曲第5番の運命も同じ調です。それに対してノクターンの中間部に出てくるC-durはとても平和的で真っ白な調です。バッハの平均律一巻の第一番のプレリュードもそのままのイメージです。

僕にとって、それぞれの調は独特の色や香りを持っているように感じます。大好きな調もあるし(c-moll、E-dur)・・少し苦手な調もあります(G-dur!=ちょっとハイテンション気味?)。ひとつの調の中でもそれぞれの和音が自分の独特の色を持っています。

まるで秋の季節のようですね!調や和音、音の中には色々な色やグラデーションや香りがあります。ショパンが持っている切ない雰囲気は秋の雰囲気と似ていますね。夏が終わり、冬に向かう途中。落ち葉を見ると葉っぱに夏の色々な思い出が見えて、葉っぱと一緒に枯れてしまう・・・。2つの世界の間に立っている自分。夏と冬の間・・甘い夢と辛い現実の間・・。とてもカラフルな秋の世界に立つと、幸せと同時に寂しさを感じます。少しづつ現実から離れて行って自分の世界に入る、幻想的な季節ですね。

今回のノクターンも始まりは冬に向かう自分・・少し寂しいです。不安定なタイミングで単純な旋律の中に切なさを感じる。中間部は夏の思い出・・花の甘い香りと太陽の暖かさを感じます。最後の部分はこの2つの間に立つような感じです。落ち葉に覆われたの山道を歩く・・遠くから漂ってくる焚き火の香り・・赤い葉っぱからもらった火のような情熱・・・。

遠くまで行かなくても、音楽のインスピレーションは近くの秋からももらえますね。
皆さん良い秋を!

それでは、また!

ルイ・レーリンク

- レッスンビデオ -
僕が弾く時に考えている事を少しでもビデオで皆にお伝えできればという思いから、 今回の曲は演奏の録画・録音と別に「レッスンビデオ」を作りました。 見ていただけると嬉しく思います。
レッスンビデオバナー
曲目:グリーグ作曲 叙情小品集 作品38より 6.ワルツ 7.エレジー
投稿 者:ふみ

ふみさんの演奏はとても心がこもっていて素敵ですね。グリーグの小曲を自分ら しく演奏されています。エレジーはひとつひとつの音をていねいに語っているように 弾いていて、この曲の美しさをわかって欲しいと言う気持ちが伝わって来て感動しま す。選曲も今の季節にぴったりですね。これからもピアノますますがんばって下さい!

ルイ・レーリンク

オランダ出身。7歳からピアノを始め、15歳で音楽院入学。アムステルダム・スヴェーリンク音学院に於いてW・ブロンズ氏他に師事する。1996年音楽活動の為、日本に移住。「肩の凝らないクラシック」をモットーに各地で通常のコンサートから学校や施設のコンサート、香港等海外でも公演。九州交響楽団との共演、CD「ファイナルファンタジー・ピアノコレクションズ9」の演奏と楽譜監修を行うほか、CD「夢」をリリース。個人/公開レッスンや音楽講座を行い、ピアノ・音楽指導にも意欲的である。洗足学園音楽大学非常勤講師、洗足学園高等学校音楽科講師として、「演奏法」の授業 、演奏家を目指す生徒のための「特別演奏法」の授業、ピアノレッスンを受け持つ。

NHK/BSテレビ「ハローニッポン」、「出会い地球人」
TBSテレビ「ネイバリー」、TBSラジオ「大沢悠里のゆうゆうワイド」他出演。

ピアノ演奏法のページ : http://www.senzoku.pianonet.jp も作成中
演奏者のホームページ http://www.pianonet.jp

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