第87回 リセット休暇/ドビュッシー :「西風の見たもの」
皆さんからのピアノ演奏のビデオを募集しています。
この連載「ルイのピアノ生活」の下の部分に新コーナーを設けて、毎回何人かの演奏ビデオを紹介したいと思います。 美しければ(!)どんな演奏でも大歓迎です。 ※採用動画にはルイ先生からの一言コメントがつきます(編集部注) ♪ 投稿されたビデオはこちら |
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最後にはビデオへのリンクを以下のアドレスを送ってください。選ばれたビデオをこの連載上で公開して見られるようにします。ぜひ恥ずかしがらないで、たくさんのビデオを送って下さいね。お待ちしています!
応募先:soho*pianonet.jp (*を@に変えて下さい)
私はこの夏オランダに帰りました。オランダに行くと一切ピアノを弾きません。私にとって音楽は大切ですが、でもだからこそそこから少し遠ざかること・・「休み」が必要と感じます。日本を発つ直前までは一応Ipodを持って行こうかな?等と考えていましたが、耳を休ませたかったので置いて行くことにしました。
実際に音楽を聞かなくても、頭の中でずっと音楽が流れています。空港を歩くといつも何故かヴィヴァルディが聴こえてきます。飛行機の中だとゴドフスキー・・車中はバッハ・・公園を散歩すればドビュッシー。場所によって聴こえてくる音楽が違います。時々停止ボタンがあるといいなと思うこともありますが・・。
しばらくピアノを弾かないことは良いことだと思います。久しぶりに触れるピアノの鍵盤の気持ちが良いこと!少し時間を置いてから鍵盤を押すと、音がピアノから出てくることも毎回不思議に感じられます。余談ですが、久しぶりに日本に帰ると日本語もいつもと違って聞こえます。耳がリセットされるからでしょうか、一瞬韓国語みたいに一言一言意味分かる言葉ではなく・・意味の分からない不思議な音に聞こえます。
性格的に自分を客観的にみることは苦手です。ピアノ演奏でも、いつも自分の音楽の世界に入り込んで少し感情的になりすぎて客観性が少し失われる事が多いです。
どう弾いたら良いか・・ピアノから少し距離をとると物事が客観的に見えてくるようです。しばらくその曲のことを考えないでおくと、ある日突然、いつもより美しく自然にその音楽が頭に湧いてきます。
遠くでなくてもよいのですが環境を少し変えることも大切だと感じています。私は8月佐渡に行きました。新潟の港からのフェリーに乗りこむと、もう既に頭の中に流れる音楽がいつもより自然に聞こえてくるから不思議です。豊かな自然にあふれる佐渡で、森や海岸など歩くと場所に流れる「気」のお陰なのかどうか、自分に戻れる・・自分にとって自然な音楽が聞こえてくる・・そんな感覚になります。
アムステルダムで人気のレストランに行ったら、お店が閉まっていて「8月いっぱい休みます」とお店のドアに手書きの張り紙がありました。お店が1ヶ月休む!日本ではあり得ないですね!勝手に休むなんてひどい!でもよく考えたら、お店の人たちにも休みが必要だし、他に食べられる所もあるし、料理人が少し台所から距離を取ることは大切なことなのかもしれませんね。より美味しい物を作ってくれるためにも・・そしてお客さんたちも「今度はどんな味かな」と彼の料理をますます楽しみに、味わいに来るのかも知れません。
それでは、また!
ルイ・レーリンク
◆第26回:フォーレ:シシリエンヌ(2009年7月)
◆第25回:プロコフィエフ:ソナタ第4番 第2楽章(2009年6月)
◆第24回:バッハ:トッカータ ホ短調 BWV914(2009年5月)
◆第23回:モーツァルト:ソナタkv.533第2楽章(2009年4月)
◆第22回:バッハ=コルトー:Arioso(2009年4月)
オランダ出身。7歳からピアノを始め、15歳で音楽院入学。アムステルダム・スヴェーリンク音学院に於いてW・ブロンズ氏他に師事する。1996年音楽活動の為、日本に移住。「肩の凝らないクラシック」をモットーに各地で通常のコンサートから学校や施設のコンサート、香港等海外でも公演。九州交響楽団との共演、CD「ファイナルファンタジー・ピアノコレクションズ9」の演奏と楽譜監修を行うほか、CD「夢」をリリース。個人/公開レッスンや音楽講座を行い、ピアノ・音楽指導にも意欲的である。洗足学園音楽大学非常勤講師、洗足学園高等学校音楽科講師として、「演奏法」の授業 、演奏家を目指す生徒のための「特別演奏法」の授業、ピアノレッスンを受け持つ。
NHK/BSテレビ「ハローニッポン」、「出会い地球人」
TBSテレビ「ネイバリー」、TBSラジオ「大沢悠里のゆうゆうワイド」他出演。
ピアノ演奏法のページ : http://www.senzoku.pianonet.jp も作成中
演奏者のホームページ http://www.pianonet.jp