ドビュッシー：「帆」　 動画：(5,11s)

オランダには日本人留学生がたくさんいます。
私の卒業したアムステルダムの音楽院でも、私の先生、ヴィレム・ブロンズ先生のもとには日本からの留学生（妻もその中のひとり）が来ていました。オランダに限らず 勉強の為にヨーロッパを訪れる日本人の数はかなり多いのではないでしょうか。

クラシック音楽の本場で勉強したい気持ちはとてもよく理解できます。おそらく日本では身に付けられない事をヨーロッパで学ぶ事が出来るから。レッスンや練習など音楽の勉強だけではなく、その土地の文化・習慣に触れ、人と交わって生き方・考え方・価値観などを学ぶことで音楽へのアプローチや見方が変わり、クラシック音楽の理解が深まるようです。
そのためにも留学というのはとても貴重な経験だと思います。

昨日（6月28日）、我が表参道ステーションの『ピティナピアノステップ外苑前地区の第3回』が行われました。このステップの会場は梅窓院というお寺のホール（お堂）です。都会の真ん中のこの会場に、僕が大好きなベヒシュタインピアノがあります。個人的にも色々と思い出のあるピアノですが、1日中聴いていても不思議と耳が疲れることがありません！誰が弾いてもその人の演奏を引き立ててくれるような、どこか特別な美しい楽器です。

一日開催なので、全ての参加希望者の方々に弾いていただけないのが残念でしたが、参加した方々の演奏は大人も子供達も皆さん本当に素晴らしく、後半のグランミューズの方々に至ってはまるで演奏会で聴いているようで音楽って本当にいいな、と幸せと感じました。今回は 林苑子先生、上総治子先生、金子彩子先生をにお迎えし、4人がローテーションでアドバイスにあたりました。それにしても好きな時に好きな所で好きな曲を発表して、その上3人の先生方からの貴重なアドバイスや励ましの言葉をいただけるなんて、贅沢ですね。ステップって本当に素晴らしい企画だなと感心します。

ステップアドバイザーを務めるようになってから、毎回日本各地の色々な素晴らしい先生との出会いがあります。その度、指導法について・音楽の話・ピアノへの熱意など、勉強になるお話をよく聞かせていただきますが、日本には熱心な素晴らしい先生方が数多くいらっしゃる事にいつも驚きます。日本人の生徒はすごく熱心で勤勉ですが、それはピアノの先生から来るのですね！今回も梅窓院で行われたステップで、自分の生徒にいただいた先生方のアドバイスを拝見して感動しました！それぞれがとても丁寧でかつ的確、どれもすごく生徒の身になる言葉ばかり。ありがたいです。海外で留学をしたい日本人の生徒はたくさんいますが、日本人の先生方のアドバイスを読みながら、「ヨーロッパの国々から日本に音楽留学をして欲しい！」と思いました。

どの国でも同じでしょうが、正直日本には良くないところもあると思います。でも良い所もたくさんあります！
ヨーロッパで身につけられる事もありますが、日本でしか勉強出来ない事もたくさんあります。日本の先生の熱心のレッスンや細かい指導を、ぜひヨーロッパのピアノ生徒にも経験して欲しいです。海外からも日本に「逆留学」？に来るべきです。一方通行ではなく、世界の人間はお互いから学びあう事ができると思うのです。

自国の伝統文化は海外の人には理解出来ないと思い込んでいる人もいるようで、いつだったか有名な板前さんがテレビでミシュランのレストランのガイドブックを作る為にフランス人が試食に来た際に「お寿司は食べ物というより日本文化で、外人には理解出来ないだろう・・・」という内容の事を言っていました。でも本当にそうでしょうか。

私の知り合い（日本人）はお茶会で高名な先生からお手前を褒められたそうです。実は彼女の先生はアメリカ人でした。日本のお相撲さんより強い海外の力士、日本の三味線や尺八の素晴らしい海外の奏者、世界的に活躍する日本人音楽家もいます。

私達はお互いから学ぶ事がたくさんあります。
三味線やお茶を海外の先生から学ぶ事が出来ます！
クラシックの本場、ヨーロッパの人が日本のクラシック音楽の指導者から学べる事もたくさんあるのではないかと思います。

それでは、また！

ルイ・レーリンク