第36回 沈める寺/曲:ドビュッシー 「沈める寺」
あともう少しで2007年になります。 皆さんの1年間はいかがでしたでしょうか。
今年の最後の連載にドビュッシーの「沈める寺」という大好きな曲を公開します。 何かとても「新年」ような感じがする曲です。 どこか除夜の鐘の響きを思い出させてくれる曲ですね。
ドビュッシーはフランスのブルターニュ地方のケルトの伝説にインスピレーションを受けて、1910年にこの曲を作曲しました。 約1500年前から伝わる、ある伝説によると「イス」という町の人々は神様への不信心を示しました。 罰として、神はその町の寺を海に沈めてしまいました。 人々が罪を忘れないように、神は毎朝の日の出と共に、一瞬だけ寺を水から引き上げます。
海から浮き上がってくる鐘の音、賛歌を歌う声、そして海中から目の前に姿を現す大聖堂。 ドビュッシーが今まで聴いた事がない美しい響きと音色で、この神秘的な絵を描いてくれました。 素晴らしい響きに囲まれて、ピアノを弾く事を最高に幸せに感じらる曲です。
新年にぴったりこの曲は、除夜の鐘の響きを思い出させてくれる事だけではありません。 曲のタイトルは、「沈める」と書いてありますが、 どちらかといえば、音楽は海から浮かび上がってくる寺の印象を強く与えていると思います。 海岸に立って、見た事のない・・想像できない程美しい建物が海から姿を現す事は、 2007年になる直前の、今の私の気持ちと一緒です。 2007年がその美しい寺のように、目の前に現れる事を祈っています。 新年を迎えられる事に感謝し、同時に心から楽しみにしています。
前向きに2007年に向かっている私が、同時にこの1年間を振り返って見ます。 楽しい事・・悲しい事も・・よくやった事・・反省する事もたくさんあります。 でも、2006年隔週で連載を書いたり、録音したりして、大変な事もありましたが、本当に楽しい1年でした。 そして、何よりも、たくさんの方々がいつも私の連載を読んで下さっているのは本当に嬉しいです! 心から感謝しています。
文書を書くのはどちらかというと苦手で、いつも少し恥ずかしいです。 そして、自分の演奏のビデオ録画も、反省する事ばかり・・・。 でも来年も頑張って連載を続けて書いて行きたいと思います。 まだ録音したい曲もたくさん残っていますので、是非「ルイのピアノ生活」に遊びに来て下さい!
それでは、皆さん、良いお年をお迎え下さい。 皆さんにとって素晴らしい2007年になりますように。 そして来年も宜しくお願いします!
ルイ・レーリンク
オランダ出身。7歳からピアノを始め、15歳で音楽院入学。アムステルダム・スヴェーリンク音学院に於いてW・ブロンズ氏他に師事する。1996年音楽活動の為、日本に移住。「肩の凝らないクラシック」をモットーに各地で通常のコンサートから学校や施設のコンサート、香港等海外でも公演。九州交響楽団との共演、CD「ファイナルファンタジー・ピアノコレクションズ9」の演奏と楽譜監修を行うほか、CD「夢」をリリース。個人/公開レッスンや音楽講座を行い、ピアノ・音楽指導にも意欲的である。洗足学園音楽大学非常勤講師、洗足学園高等学校音楽科講師として、「演奏法」の授業 、演奏家を目指す生徒のための「特別演奏法」の授業、ピアノレッスンを受け持つ。
NHK/BSテレビ「ハローニッポン」、「出会い地球人」
TBSテレビ「ネイバリー」、TBSラジオ「大沢悠里のゆうゆうワイド」他出演。
ピアノ演奏法のページ : http://www.senzoku.pianonet.jp も作成中
演奏者のホームページ http://www.pianonet.jp